君のこと、すきだって
どうか 気がつかないままで
君は 知らないままでいて
知らないままで
そばにいさせて
「正解です。つまり、そういうことです。」
そういうこと、とは。自分と同じ型では、魔力自体アップしても、攻撃型との相性は悪いままである。それはきっと、チャールズのものじゃない。では、誰のものだろうか。
「私の随身具があれば迷わずお嬢さまに貸すのですが、これでは何の解決にもなりませんからね。」
さらに頭を悩ませるチャールズ。しかし瑛瑠は、チャールズの随身具が気になって仕方がなかった。誰のものなのか。そして、チャールズのはどこへいってしまったのか。
結局、できるだけ刺激をしないように、近づかないようにするというあまりにも進展のないものしか出せなかった。そりゃ、二人のうち片方の頭脳が別のことでいっぱいなのだから仕方ない。
ベッドに入ってからも考えていた。チャールズは、自分のがあれば瑛瑠に貸すと迷わずいい放った。少なからず蔑ろにしていい代物ではないはずだが、純粋に自分を想ってのことであると理解できたし、チャールズは簡単にそういうことをする人物ではないのもわかっているつもりだ。そうして悶々と考えているうちに眠りについてしまったらしい。
頭のなかが混沌としている瑛瑠は、この日身に起こることなど知る由もなかった。
鼻に通る風の匂いが変わる。
お日さまは、ハイテンションになっている。
ただいまとおかえりの海岸通り。
焼けた砂浜のイバラ道を抜けたら
あついのにつめたい、潮水。
見ても、触れても
綺麗で、
濁りを知らない深い紺碧が
僕の心を弛緩させる。
ばいばいとまたねの海岸通り。
サザンよりアジカンな
夏の日だ。
その夜に行われた次の日の予定確認では、チャールズはやけに難しい顔をしている。
「近づくなというのは無理な話でしょうが……。」
解決策が出てこないのだ。しかし、力駄々漏れ状態のワーウルフにウィッチを近づけるのは苦である。
「随身具(ずいじんぐ)でもあれば良いのですが……。」
随身具、それは成人の儀でもらえる護身用のアクセサリーのこと。自分に相性のいい力が宿されている。相性の悪い力から身を守るために。つまり、パプリエールが成人すると、防御型の力の宿ったものが授けられる。それを身に付けることで、攻撃型の力を防ぐ力が補われるということ。しかし、瑛瑠はまだ成人していない。
「生憎、私の随身具はここにありませんし……。」
瑛瑠はふと疑問に思う。チャールズの首元のそれからは、魔力が感じられる。
「チャールズ、そのネックレスは随身具ではないの?私、てっきりそれがそうだとずっと思っていたのだけれど……。」
チャールズは、ああ,と言って外してみせる。チャームも何もついていないネックレスを、テーブルの上に置く。
「この魔力が何型かわかりますか?」
本来であれば、ウィザードは防御型の魔力を宿した随身具であるはずだが、瑛瑠の感じたものは違った。
「……特殊型?」