表示件数
0

No title

不惑な横顔から滴る蜜は
私の全てを鷲掴みにした
私にない全てを
あなたは持っていたから

0

冬の朝

窓の結露をひとりなぞった
指先に伝った一筋の雫
ぽたりと落ちた


冬の朝はこんなに眩しくて

ふっとあなたの温もりが

恋しくなる季節

あなたとわたし
ひとつのマフラーで繋いだ

真っ赤なマフラーに染み付いた
あなたの香りがこんなにも
懐かしくなるだなんてね

小指絡めたあの日

あなたは覚えていますか?


不意に昇華して消えた


一瞬の余韻に止まった街は

なにも無かったかのようにまた忙しなく

動き始めるのね


濡れた指先朝陽に翳して

きらきら光った雫

ぽたりと落ちた


0

風の強い日

僕、風にのって空を飛んだのなんてはじめてだったよ

にんじん畑をあらしてしまってごめんね
新しいお家もこわしてしまってごめんね

すっかりほどけてしまってたけど
マフラーの糸の先にいるのは君って思ったら
ちっともこわくなんかなかったよ
いや、そりゃ ちょっとはこわかったけどね

今年の冬はさむいね
君は風邪、ひかないようにね