不惑な横顔から滴る蜜は
私の全てを鷲掴みにした
私にない全てを
あなたは持っていたから
窓の結露をひとりなぞった
指先に伝った一筋の雫
ぽたりと落ちた
冬の朝はこんなに眩しくて
ふっとあなたの温もりが
恋しくなる季節
あなたとわたし
ひとつのマフラーで繋いだ
真っ赤なマフラーに染み付いた
あなたの香りがこんなにも
懐かしくなるだなんてね
小指絡めたあの日
あなたは覚えていますか?
不意に昇華して消えた
一瞬の余韻に止まった街は
なにも無かったかのようにまた忙しなく
動き始めるのね
濡れた指先朝陽に翳して
きらきら光った雫
ぽたりと落ちた
僕、風にのって空を飛んだのなんてはじめてだったよ
にんじん畑をあらしてしまってごめんね
新しいお家もこわしてしまってごめんね
すっかりほどけてしまってたけど
マフラーの糸の先にいるのは君って思ったら
ちっともこわくなんかなかったよ
いや、そりゃ ちょっとはこわかったけどね
今年の冬はさむいね
君は風邪、ひかないようにね