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万華鏡の中にはキレイなものが
見えますか

望遠鏡の中にはキレイなものが
見えますか


鏡の中は
鏡の向こうは
そんなにもキレイですか

それなら
現実は
自分の言葉は
他人の言葉は
夢は
そんなにも
汚いですか

そんなにも
醜いですか


だったら
一生
鏡の中見てろ

僕が現実見させて
絶望させてやるからさ

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Advent 12/19

(どうすべきか…)
スマホを見ながら、私はぼんやりと考えていた。
内容はもちろん”フェス”のこと。
すでに集まるメンバーのうち2人が、行くことを決定している。
自分も行きたい、けど…
(やっぱり親は許してくれるのか)
多分OKしてはくれないだろう。なにせ私は受験生。ついでに志望校合格すらも少し怪しい。
そんなことを、ここしばらくスマホを見るたびに考えている。
(会場から家が遠かったら、言い訳が付くんだけどな…)
会場から家の最寄駅まで、電車で30分。そこそこの距離だ。行こうと思えば行ける。
(でも、)
そこから先が出てこなかった。
ピロン、とスマホが鳴った。
誰からだ、と思いながら通知を見ると、クラスLINEにメッセージが来ていた。
メッセージの主はクラスの男子、星一登(イチト)だった。
どうやら明日の時間割を教えてほしいとのこと。
なんで学校にいるうちに、明日の時間割確認しないんだよと心の中でつっこんだところで、ふと、昼間のことを思い出した。
給食の最中、星が他の男子とこんなことを話していた。
「俺さ~こないだの模試D判定でさ~」
「おれもD判定。志望校変えるわー」
「マジか! じゃ、星も志望校変えんのか?」
「俺は変えない。やるだけやるつもりさ」
「おいおい、落ちてもいいのかよ」
「落ちないために今から頑張るんだよ! やるだけやって足掻く! 後悔は嫌だし」
「相変わらずのカッコつけめ」
これを横で聞いていた私は、カッコつけてんなぁと心の中で笑ったけど、”やるだけやっておく”のも、いいのかもしれない。
(なんなら、)
フェスのこと、親に言うか。却下されてもいいから、言ってしまおう。公開だけはしたくない。受験だって―
「リイー、ご飯できたわよー」
リビングから、お母さんの声が聞こえる。
ご飯食べながらでも、このことを言ってしまおう。
大丈夫、どうにでもなるさ。本心を伝えればいい。
今行くーと大声で答えながら、私は自室を出た。自分の思いを伝えるためにも。

遅れを取り戻そうと必死です… 明日には全部取り戻すんで! 物語は遂にクライマックス!

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Advent 12/18

クリスマスが近づいて、駅前はイルミネーションで飾られている。
これが”フェス”の会場、東京だと、もっとたくさん光り輝いているのだろう。
フェスに行かないなら、俗に言う「クリぼっち」って呼ばれるのかもな、と俺は思った。別にそう呼ばれてもいいんだけど。
まぁそういう時は、ヘッドフォンでもして、周りの音を遮断すればいい。
ヘッドフォンは現実逃避には格好のアイテムだと思っている。してしまえば、周りの音は大体聴こえない。
そんなことを考えつつ、いつも通り、ヘッドフォンでテキトーな曲を聴いていたのだが、
「痛っ」
しばらくぶりの衝撃。カバンをぶつけてきたのはもちろん―
「よっ!」
カバンをぶつけてきたのは、去年まで同じ部活の先輩だった、光ヶ丘先輩。
「先輩、もうそういうことしないでくださいって言いましたよね?」
俺はヘッドフォンを外しながら言った。
「え~でもさ~ヘッドフォンしてるから、後ろから呼んでも聞こえないかな~って」
「…」
思わず沈黙。さすがにそれは分からなくもないけれど…
「てか、先輩、今日部活だったんですね」
「おっ! よく覚えてるな~」
「前にもこういうことありましたよ?」
この先輩は忘れっぽい、あとアホ。そういうところが後輩から好かれるんだけど…
「でさ~、志望校決まった?」
「よく覚えてますねそんなこと」
「こういうことは忘れないのよね~」
最近は受験のことも考えてるけど、”フェス”のことも考えてる。自分は行くか行かないか考え中だけど、すでに決めている人もいる。そうなるとますます…
「…もしや、フェスのこと考えてる?」
「うぐっ」
「わ~図星だ~っ」
そういえばこの人も、行くみたいなこと言ってたな。去年も行ったみたいだし。
「じゃあさじゃあさ、一緒に行く?」
「…ハイ⁉」
「え~よくない? 会場では別行動でさー」
「他のヤツに見られたらどうするんですか⁉ 絶対面倒なことになりますよ⁉」
「え~その時はその時でさ~」
「断固拒否します」
「あ、もしかしてさ、ウチのコ…」
「んなわけあるか!」
思わずタメ口でツッコミ。そんなこと一切考えてない。というか考えたくないし。
俺はヘッドフォンで耳を塞いだ。それでも先輩は話を止めなかったけど。