(どうすべきか…)
スマホを見ながら、私はぼんやりと考えていた。
内容はもちろん”フェス”のこと。
すでに集まるメンバーのうち2人が、行くことを決定している。
自分も行きたい、けど…
(やっぱり親は許してくれるのか)
多分OKしてはくれないだろう。なにせ私は受験生。ついでに志望校合格すらも少し怪しい。
そんなことを、ここしばらくスマホを見るたびに考えている。
(会場から家が遠かったら、言い訳が付くんだけどな…)
会場から家の最寄駅まで、電車で30分。そこそこの距離だ。行こうと思えば行ける。
(でも、)
そこから先が出てこなかった。
ピロン、とスマホが鳴った。
誰からだ、と思いながら通知を見ると、クラスLINEにメッセージが来ていた。
メッセージの主はクラスの男子、星一登(イチト)だった。
どうやら明日の時間割を教えてほしいとのこと。
なんで学校にいるうちに、明日の時間割確認しないんだよと心の中でつっこんだところで、ふと、昼間のことを思い出した。
給食の最中、星が他の男子とこんなことを話していた。
「俺さ~こないだの模試D判定でさ~」
「おれもD判定。志望校変えるわー」
「マジか! じゃ、星も志望校変えんのか?」
「俺は変えない。やるだけやるつもりさ」
「おいおい、落ちてもいいのかよ」
「落ちないために今から頑張るんだよ! やるだけやって足掻く! 後悔は嫌だし」
「相変わらずのカッコつけめ」
これを横で聞いていた私は、カッコつけてんなぁと心の中で笑ったけど、”やるだけやっておく”のも、いいのかもしれない。
(なんなら、)
フェスのこと、親に言うか。却下されてもいいから、言ってしまおう。公開だけはしたくない。受験だって―
「リイー、ご飯できたわよー」
リビングから、お母さんの声が聞こえる。
ご飯食べながらでも、このことを言ってしまおう。
大丈夫、どうにでもなるさ。本心を伝えればいい。
今行くーと大声で答えながら、私は自室を出た。自分の思いを伝えるためにも。
遅れを取り戻そうと必死です… 明日には全部取り戻すんで! 物語は遂にクライマックス!