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失ったものは

とんだ災難だったなぁ
りかいの範疇を超えていたよ
かってにいなくなるんだもんなぁ
えぴろーぐもなしに終幕か
せっかくのどんでん返しも
ないまぜにされて
いなくなって清々したなんて
いえねえよ

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さらば

頑なに拒んだ別れの言葉は
張り裂けたように外気に触れた
れいぎなんか気にすんな
ようやくこの時が来たんだ
さらば

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たった10ヶ月

たった一瞬で先輩に落ちて
たった2ヶ月で彼女もちって知ってしまって
たった7ヶ月後には別れたことを知って
今月新しい彼女が出来たことを知りました。

彼女がいたって、別れたってこの気持ちは休むことは無かった。
でも、引退してから接点もなくて年の差を感じてしまって。

挨拶したって、姿探したって、見つけたって
ただの後輩Aな私は

高嶺の花に勝てるわけもなかった。


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ごーしちごーしちしち。

後ろから
ぼくの背中を
追い越した
自転車にさえ
泣きそうになる

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雨よ、降れ、降れ。

雨よ降れ。

重たい雲から落ちてくる

幾千万の雨粒に

僕の心は快晴です。

僕の歩足は鈍重です。

優しい、優しい、雨が降る。

頬に散らばる水滴が

そして流れる水滴が

熱いかなどとは分かるまい。

雨は僕にだけ優しいのです。

それから僕にだけ残酷なのです。

熱いかなどとは分かるまい。

僕以外の手が拭うまでは。

頬に流れる水滴を。

そして散らばる水滴を。

寂しい、寂しい、雨が降る。

僕の歩足は軽快です。

されど心は灰牡丹。

幾千万の雨粒が

白い雲から落ちてくる。

そんなことさえ許せない

僕はそうして濡れてゆく。

触れられなければ分からない

そんな人さえもういない。

雨よ、降れ、降れ。

もっと降れ。

足跡、匂い、温もりも

排水溝に流れゆけ。

雨の紗幕が影を溶かす

最後までもが君だった。

雨粒一つを以てして

私は滂沱に立ち震う。

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月の涙 14

 その本屋は唐突に現れた。
 地図アプリ片手にここらへんかな、と少し周りを見渡してみたら、目の前にその本屋があった。突然現れたように感じたが、それは周りの寂れた街並みと完全に同化してたからであり、つまりは店舗が古めかしかった。この店やってるのかな、こんなところに目当ての本なんてあるのかなと思いながらも、「OPEN」の札はかかっているし私が欲しい本はまあまあ昔の本なので、一筋の希望は捨てないままに恐る恐るその店の扉を開いた。
「こんにちは~……」
 薄暗い店内から返ってくる声はない。意を決して、今度は一歩ずつ踏み出す。後ろから妹と圭一さんが入ってくる心強さを胸に借りながら、私はそのままどんどん奥へと入っていった。
 店内が薄暗いと思ったのは外が明るかったからで、目が慣れればある程度の明かりは確保されているようだった。かび臭い本のにおいがする。入り口から店舗の大きさは小さいと判断していたが、予想に反してかなりの奥行きがあった。もしかしたら本の数は私の町のちょっとした本屋より上回るかもしれない。明かりがともっているとはいえやはりどこか薄暗い店内は、まるで迷路のような構造になっていた。
「うわぁ……。なんだか不気味だよう」
 妹が後ろでお化けでも探すような目つきで店内をぐるぐる見渡している。圭一さんはそんな妹を、児童書が置かれてあるコーナーに連れていってくれたようだ。私は安心して一人で迷路へと踏み込む。
 私が例の本を探しながらさくさく歩を進めていると、突然知らない声が掛かった。
「……ちょっと、そこのお嬢さん――」

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生きること

生きてるだけで幸せなはずなのに、どうしてこんなにも何かを望むのだろう。