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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑧

「…」
そこにいるのは誰なのか、気になって細い道に少し足を踏み入れてみた。
こちらが近づいて行っても気付かないのか、人影は建物の壁に寄りかかって動かない。
2、3メートルくらい細い道に入って行ったところで、そこにいるのがなんとなく誰か分かった。
確実に面倒な事になることになるだろうし、わたしの見間違いかもしれないけれど…その名をちょっとだけ呼んでみた。
「黎…?」
人影は動かない。
聞こえていないのかな、ともう1度呼んでみたが、反応はなかった。
無視されているのかな…と思って諦めかけた時、ふとある可能性に気付いた。
まさか…と心の中でつい呟いたが、無視されそうだけどと思いながらも、”その手”を使ってみた。
一応ちゃんと声が届くようにわたしは1歩くらい前へ出た。
「…”サイレントレイヴン”…?」
くる、とゆっくり彼は振り向いた。
その目は灰色がかった綺麗なアイスブルーに光っている。