風呂からは簡単に出られるが
そうは言っても出たくないように、
って言えばわかり易いかな
かぼちゃのランタン 魔法の箒
真っ赤なジュース どんな味?
タネも仕掛けも泣き顔もないの
さあ、今夜だけの魔法を楽しんで。
「頑張る」が常備薬
「出来る」のが飲料水
あまりにも身近にありすぎる言葉が
余りに見えてしまう気がした
生きていたくないと
苦しんでみたとて
やりたいことをやるために
薬は欠かせないわけで
好きな音楽だけで生きていけるわけもなく
死にたくないけど生きていたくない
生きたくないけど死にたくもない
生き難いのが嫌なだけ
できない僕は水を飲めず死んでいくしか
能がないのだと知ってたの
あ、おくすりのめたね
心の奥、擦り切れたね
完璧主義さん
君が今に退屈を感じるのは何故なのか
そんなもん知りゃしない
全部どうでも良いと思いながら生きる結末だってとっても面白そうじゃないか
幸せが絶対のゴールだというならば
その逆に落ちてから這い上がるのはどうだ?
しけてる
今一つだ
君は君でしけた世界の扉にすがってるんだから
これはこれは困ったなぁ
月は照らしてる
鈍い光で夜の世界に一筋の光を与える
世の中は
誰に何を与えてるんだろうか?
お前は複雑すぎて頭が痛くなりそうだ
ちょっとは単純になってみればどうだ?
僕達は知らないものが嫌いで
昔から知ってるものが大好きで
安定が大好きな生物なのだ
そんなつまらなく
人類が誕生してから今の今まで生き古されて来た生き方に習うしかない環境が君を殺してしまう
世界の全てに疑いを感じ
この目で見た真実さえも疑い
その先に生まれてくる真実
本質を知る事に楽しみを見いだすことが
もし出来たなら
君は
目には見えないけど
どこにだって飛んでいける大きな翼を手に入れる
目には見えないでも確かに自信を持てる
大きな大きな純白の翼を
肩にある蜘蛛脚と下半身の蜘蛛脚で這うように走る阿蘇さん。その速度は自動車に匹敵します。それに何本もの腕で一つ目小僧も何とかしがみついています。
そしてついに件の鵺達のところまで辿り着きました。鵺と山彦は知らない男のもとに集まっています。
一目「見つけたぞ妖怪共!」
?「……何この化け物共」
阿蘇「マアそりゃそうだよナ。まあちょいと聞いてくれよ」
人外化を解いた阿蘇さんが会話を試みました。
?「はあ、何でせう」
阿蘇「こいつが偶然そこの山彦を見かけたんだ。それでそいつを探しに出たら、今度はそっちの鵺にも遭遇して、面白そうだから両方捕まえようぜってんで、その鵺を追跡してたらここに来たというわけだ」
?「なるほど。つまりあんたらはただの好奇心旺盛な阿呆共ってだけで、悪意は無いわけだ」
一目「阿呆共言うな。いやまあそうだけど。そいつらは何なんだよ」
?「俺の能力で産まれたものだよ。どうせお前らも能力者なんだろ?あの姿や何本もの腕。能力者じゃなきゃバケモンだ」
阿蘇「どんな能力?」
?「『間違っているとされたもの、存在しないとされたもの、別のもので説明されたものを操る』能力だ。山彦は音の反響、鵺はレッサーパンダとかトラツグミとかあるからな」
阿蘇「ほう、じゃあ名前も教えてもらえる?呼び方に困る」
?「お前らが名乗れよ」
阿蘇「俺は阿蘇。こいつは……まあ一つ目小僧とでも呼んでやって」
?「ふーん、俺は八街祝」
阿蘇「へー、やちまたはふり。面白い名前だな」
八街「あ、そうかい?俺はこの名前好きだよ。縁起良いもの」
ところで一つ目小僧はこの後山彦を一匹八街に譲ってもらったそうです。
「今日からハロウィンだね。」なんて風花さんが言う。私は首をかしげる。
「ハロウィンって一日だけじゃないんですか?」と尋ねれば「は?一日で人間捕まえて食うの?間に合うわけねえじゃん」なんて返された。なんであんなに口悪くなったんだ。もとから悪いけど。雨月さんの方を見れば「うへへ。やっと女の子食べれる…」なんて相変わらず気持ち悪いことを言っていた。涼香さんは無言でピアノを弾き続けていた。
風花さんに「ハロウィンって何日あるんですか?」と聞くと、「10月31日から11月2日までの三日間。その間に怪物は三人まで人間を食べていいって決まってるんだよ。一年に三日しか私らは飯食えないの。」と言っていた。その横で雨月さんが「うへへ、今年から三人だよ。うへへ。」と言いながら笑っていたのは聞いていないことにした。「何で今年から三人まで食べてOKになったんですか?」と尋ねると、「人間増えすぎだからお前らもうちょい食べていいよって魔界の偉いやつに言われたの。」と風花さんに返された。「お腹空いたな。」と思うことはなかったが、人間だった時と同じようにおいしいものを食べたら、怪物の時でも幸せに感じるのだろうか。でも、よくよく考えてみれば、もともと人間だったのに、人間を食べるのか。…なんか、グロいな。涼香さんは、何をしているのかと思えば、いつもと同じように、一心不乱にピアノを弾いていた。ピアノに乗っていた楽譜を見れば、音楽の授業で習ったような気がした曲だった。音楽の授業は興味がなくて、真面目に聞いていなかった。まあ、今更後悔することもないのだが。ハロウィンか、なんて考えていれば、いつの間にか夜明けは来てしまうのだった。
怪物は寝ていなくても、疲れがたまらないので、基本的には夜が明けるまで起きているのだ。それを毎日繰り返すのが、吸血鬼になってからの生活サイクルだ。だが、この魔界、仕事はなかなか無いし、新しい生活があるわけではなかった。むしろ、活動時間が増えただけだ。流石ののんびり屋の怪物たちでも、退屈だと感じたのだろう。いたって人間界と変わらない。いや、むしろ、人間界より、進化してるかも。なんだかんだ言って、怪物の方が頭いいのかも。
「夕方になったら人間界行くぞ」という風花さんの言葉に静かに頷いた。
カビの生えた誰かの夢も
穴が空くほど眺めた青写真も
気まずいだけの思い出も
今だけなら買っておかなきゃな
勿体ないし貰っておこう
仰げば尊し 我が家の天井
ふかふかベッドでおやすみなさい
鼻を突く寒さとアノ匂い
魔女もお化けも皆帰って
ひとり残されたは歓楽街
公園に横たわるミイラに
群がってるカラスたちは
まるで私と別れた男たち
フランケンシュタインも
造れなかった貴方の性格
いつも一人にされた私は
月に向かって吠えるだけ
目を刺す雫に反射した光
雨は賑わいを皆さらって
水溜りに姿写すは歓楽街
公園のベンチにすわって
カラスを見下ろす黒猫は
まるで男たちをねらう私
土曜の夜も帰って来ない
ゾンビに呪われた貴方の
血でさえも吸いたかった
消えた男を憎めど後の祭