むかし、お爺さんとお婆さんがいた。
お爺さんとお婆さんには、耕す土地がなかったので、炭焼きをして何とか食いつないでいた。
栄養状態は悪かったし、病気になっても薬を買う余裕などなかったから銀婚式を迎えた冬のある日、二人は風邪をこじらせ、仲よくあの世に行った。
むかしのお爺さんとお婆さんなんてだいたいこんなものである。
僕はこの日が大キラいだ
街中にチョコレイトの甘い香りと
顔を赤らめた女の子たちが 溢れる日
僕には関係ないから
君はきっと 僕じゃない誰かに…
私はこの日が大キラいだ
チョコレイトの可愛らしい広告と
少しぎこちない男の子たちが 溢れる日
私には関係ないから
あなたはきっと 私じゃない誰かに…
僕は、 私は、
「「バレンタインなんて大っ嫌いだ!」」
あるところに、お爺さんとお婆さんが居ました。
………それだけ?
世の全てのお爺さんとお婆さんに珍妙奇天烈摩訶不思議な物語があると思うなよ。
「わかってよ」
「なんでわかってくれないの?」
人に理解してもらいたい。
「わかった気にならないで」
「私の気持ちなんか誰もわかってくれない」
人に理解してもらいたくない。
「そんなの忘れろ」
「前を向け」
わかってもらいたいような、わかってもらいたくないような、どうしてほしいのかわからない。そんな気持ちに、悩みに寄り添ってほしいのに。
「辛いよね」
「頑張ったね」
そう言ってくれるヒーローは少ない。でも、いるから。ヒーローはいるから。大丈夫だよ。