何かを忘れているはずなのに
ちっとも思い出せないみたいに
こころのなか
大切なものは
鍵をかけておかなくちゃ
ぼくたちの生活はいつも
自転よりはやいから
ぐるぐるしてしまう
逃げていく悲しみの
後ろ姿が煌めくのは
きっともうぼくが
永遠になれないから
このまま溶けてしまいたいと願っても
神様はこの上なく意地悪で
たったひとつ僕の欲しいものだけくれないで
投げて寄越すどんな宝石もガラクタばかり
月光を反射した水面の下
息も出来ずに暗闇に足掻く
仄かに照らされた横顔の陰影に
爪先さえも触れることは叶わなくて
夜光蟲に纏われた世界
夜が明けてしまうのがどうしようもなく怖いんだ
朝になって何もかも忘れてしまうことが
ただ何もかも知らぬままにまた生きていくことが
夜が明けてしまえば僕はもう
きっと僕でなくなってしまうのだろう
その銀河を宿した瞳の向こう側
白い雨雫がひとつ落ちては消えた
青い星が降る夜に
いつもそばにいた貴方の声。
白い箱から流れては消えていく。
あの夜見た
しし座流星群のように。
青い星達がいつしか消えるとも知らずに、
ただただ眺めた十三の夜。
流れてくる貴方の声を、
信用できると感じた十四の夜。
頑張って練習した文化祭の合唱に、
努力は報われないと感じた十五の夜。
白い箱から永遠に流れると思っていた貴方の声で、
“永遠”は永遠ではないと悟った十六の夜。
のほほんと息をしているアイツに、
殺意を覚えたそんな夜もあった。
闇の中でさまよった夜ばかりだった。
貴方の声を聞くまでは。
貴方はどこのひとなのかしら。
私の夢に出てくるあの白い箱。
私の幻だったら良かったのに。
青い星が降る夜に
いつもそばにいた貴方の声。
白い箱から流れては消えていく。
あの夜見た
しし座流星群のように。
しにたいっていう人に
しなないでなんて言える人間じゃないし
きえたい人に
じゃあきえればなんて言えないのは
私からするとだれもいなくなって欲しくないからなんだよ
深くものを見たりそんなことが
できないからさ
私といる時だけでも心が楽になるような
そんな相手になりたいんだよ
知りたい。自分は知りたい絶望も希望も
緋色も蒼色も紅紫も翡翠色も知りたい