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月、水

今度から連載週2にします!!!
いっつもころころ変えてごめんなさい。
と言うことで、今日8時半ごろにあげます

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魔法譚 死にたくない魔法使い3

『なっ、何だオメェ、そのけったいな姿は!?くッ、お前ら、怯むな、歌い続けろォッ!』
『死神』が歌い続けるネコ達に向かって、何ということもなし、といった風に腕を振るった。勿論ネコ達にはかすりもしない。しかし、その腕の軌道の延長線上にいた数匹のネコの首が、何か見えない力によって斬り飛ばされた。
『馬鹿なッ!くそ、ええい、こうなったら!後方の部隊を歌唱に集中させ、前方のものは奴に突撃!あのくだらん骸骨マスクを引っ剥がし、喉笛に喰らいついてやれ!』
それに従い、前の方に居たネコ達が一斉に『死神』に飛び掛かる。しかし、『死神』にひと睨みされたその瞬間、また首を刎ね飛ばされて絶命した。
『グッ………。何て野郎だ。しかァし!今ので全て理解したぜ!どんな恐ろしい力かと思えば、所詮相手の首を刎ねるだけのくだらない魔法じゃあないか!そんなことなら何でもねえ!』
〈ケットシー〉が後方宙返りを決める。その技の終わりには、〈ケットシー〉の首から下は何処かに消え、ニタニタ笑うネコの頭だけが空中に浮かんでいた。
『イイィィイイイッハァアハハハハハ!首しか無いネコの首が刎ね飛ばせるか!?首と胴が最初っから離れてる奴にギロチンが効くか!?オラどうなんだよハートのクイーン様ヨォ!?答えてみろやァハハハハハ!』
「……うるさいナ」
驚く程冷たい、生命力を感じさせない声で『死神』が〈ケットシー〉の挑発を遮った。黒猫もその圧力に気圧され、口をつぐむ。
「僕がアイツラの首をハネたノハ、あいつらがソレで死ぬカラだヨ。お前の言っテルことの意味ハよく分からンが、一つダケ分かるコトガある。お前らは『等しく死ぬ存在』だよ」
そう言って首だけの〈ケットシー〉に手を翳すと、〈ケットシー〉の脳天に撃ち抜いたような穴が開いた。
『ばッ馬鹿なアアアアア………』
首だけのネコは地面にポトリと落ち、他のネコと等しく死んだ。

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スキキライ

正直あいつのことは
そんなに好きじゃないけれど
その感情に「キライ」って
名前つけられるのは
なんかイヤだな

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七夕後記

織姫と彦星は
――――――――で合流し
――――――で話に花を咲かせ
――で――――――を楽しみ
―――で別れを惜しみ
――――――の時に手を振って
それぞれの場所へ帰りました。

詳しいことは二人のプライバシーに関わるので………

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この人生

この人生に
制限時間がなかったら
この人生が
何回も訪れるなら
この人生を
大切にしなくても
楽しまなくても
許されたのかな
この人生は
1回しかないから
この人生を
大切にして
楽しまないと
許されないの?

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No title

一徹の身であなたを想った
あなたは私に伝えてきた
聞こえない聞き取れないフリしてた
備え付きの想いは解くことできず
今できることを思うよりも
今やりたいこと思うほうが
実のある日々を送れるけれど
私はまた同じように
あなたを思うのでしょう

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無幻の月-幻夢-

第三埠頭、あの賢者と初めて会った場所の近くだ
一日探してみたが、どうもここが町で一番気配が強い
午後八時丁度、空が割れた
開戦である

確かに尋常じゃない数だった
しかも人型、獣型、不定形のオールスターメンツだった
こうでなくては面白くない
桜が飛び立つ、それを見てファントムも速度を上げる。両者が激突し、大鎌を振るう。一撃で真下の海はファントムの亡骸で染まった。
「もっと...強いのはいないのかぁ!」
斥候達を蹂躙し、彼女が叫ぶ。
後続は見えるが、今倒したのと同レベルのファントムだろう。
彼女は今、快楽の果てにいる。
再び大鎌を構えて彼女は突き進む、その裂け目の奥底に悪夢としか形容できない怪物がいるとも知らずに。

異変に気づいたのは第三陣を迎え撃つその最中だった。
「(出てくる数が減った...?私の感じた気配はもっとあったぞ...?)」
そんな風に思った時にはもう遅かった。
天を裂き、同族を喰らいながら現れたのは人と西洋竜を掛け合わせたキメラとしか表現できない四足歩行の巨大な怪物だった。
「お前が亡霊共のボスか」
怪物の咆哮と共に全てが震える。
そして...
「うっ...なっ...」
知覚できなかった
人間が考えるよりも早く、体を動かすよりも早く怪物は桜の右腕を軽々と吹き飛ばした

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魔法譚 死にたくない魔法使い2

突然、身体を丸めるようにして苦しんでいた少年が、耳を塞ぐのを止めて姿勢を正した。
「僕はさ……、ただ願っただけなんだよ。『死ぬのが怖い、死ぬのは嫌だ』って。それだけなんだ。そしたらあの人は、僕に言ったんだよ……」
少年の頭に、『大賢者』と出会ったときの会話が思い出される。

『少年、死ぬのが怖いと言ったな?』
「うん、言った」
『そうか、ところでお前さん、自分を怖いと思うか?』
「いや、思わない」
『そうか、それは幸せなことだ』
「そうなのです?」
『ああ、世の中には、自分自身が怖いなんてことを言う奴だって居る』
「それはまた奇妙な。どんなに怖がったって自分からは逃げられないでしょう?」
『死もまた、決して逃げられないことさ』
「そりゃあ、運命による死はそうでしょう。けど、何か悪いものが僕を害して、そのせいで勝手に死なされる、それが怖いのです」
『ふむ、……それなら少し……、いや、よそう。結局はお前が決めることだ』
「何の話です?」
『いや、「お前は幸せ者だ」という話だよ。さあ、これをくれてやろう。後はお前と、お前の願いが決めることさ』

少年は懐から小さな白い何かを取り出した。それは、『骨片』。何かの生き物のどこかの部位の、ほんの小さな、少年の指の長さほどの骨の欠片。
「つまりはさ、何も分からないから怖いんだ。いつ来るのか、そもそも何なのか。未知こそが恐怖の正体なんだよ。なるほど確かに僕は僕を怖がらない。その答えが『自分』ならさ……」
少年の姿と服装がが少しずつ、変化していく。
「少しハ、マシなんじャア、無いカナ?」
あまり高くなかった背丈は、いつの間にか大の大人さえ軽く見下ろせるほどのものになっていて。ボロボロの黒いローブから覗くは、骨だけの腕と顔面。トレードマークの大鎌こそ持ってはいないが、その姿は確かに『死神』だった。