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魔法譚 死にたくない魔法使い3

『なっ、何だオメェ、そのけったいな姿は!?くッ、お前ら、怯むな、歌い続けろォッ!』
『死神』が歌い続けるネコ達に向かって、何ということもなし、といった風に腕を振るった。勿論ネコ達にはかすりもしない。しかし、その腕の軌道の延長線上にいた数匹のネコの首が、何か見えない力によって斬り飛ばされた。
『馬鹿なッ!くそ、ええい、こうなったら!後方の部隊を歌唱に集中させ、前方のものは奴に突撃!あのくだらん骸骨マスクを引っ剥がし、喉笛に喰らいついてやれ!』
それに従い、前の方に居たネコ達が一斉に『死神』に飛び掛かる。しかし、『死神』にひと睨みされたその瞬間、また首を刎ね飛ばされて絶命した。
『グッ………。何て野郎だ。しかァし!今ので全て理解したぜ!どんな恐ろしい力かと思えば、所詮相手の首を刎ねるだけのくだらない魔法じゃあないか!そんなことなら何でもねえ!』
〈ケットシー〉が後方宙返りを決める。その技の終わりには、〈ケットシー〉の首から下は何処かに消え、ニタニタ笑うネコの頭だけが空中に浮かんでいた。
『イイィィイイイッハァアハハハハハ!首しか無いネコの首が刎ね飛ばせるか!?首と胴が最初っから離れてる奴にギロチンが効くか!?オラどうなんだよハートのクイーン様ヨォ!?答えてみろやァハハハハハ!』
「……うるさいナ」
驚く程冷たい、生命力を感じさせない声で『死神』が〈ケットシー〉の挑発を遮った。黒猫もその圧力に気圧され、口をつぐむ。
「僕がアイツラの首をハネたノハ、あいつらがソレで死ぬカラだヨ。お前の言っテルことの意味ハよく分からンが、一つダケ分かるコトガある。お前らは『等しく死ぬ存在』だよ」
そう言って首だけの〈ケットシー〉に手を翳すと、〈ケットシー〉の脳天に撃ち抜いたような穴が開いた。
『ばッ馬鹿なアアアアア………』
首だけのネコは地面にポトリと落ち、他のネコと等しく死んだ。

  • 魔法譚
  • 『死神』が片言ぎみなのは
  • 骨と魔法的なサムシングだけで話してるからです
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