第三埠頭、あの賢者と初めて会った場所の近くだ
一日探してみたが、どうもここが町で一番気配が強い
午後八時丁度、空が割れた
開戦である
確かに尋常じゃない数だった
しかも人型、獣型、不定形のオールスターメンツだった
こうでなくては面白くない
桜が飛び立つ、それを見てファントムも速度を上げる。両者が激突し、大鎌を振るう。一撃で真下の海はファントムの亡骸で染まった。
「もっと...強いのはいないのかぁ!」
斥候達を蹂躙し、彼女が叫ぶ。
後続は見えるが、今倒したのと同レベルのファントムだろう。
彼女は今、快楽の果てにいる。
再び大鎌を構えて彼女は突き進む、その裂け目の奥底に悪夢としか形容できない怪物がいるとも知らずに。
異変に気づいたのは第三陣を迎え撃つその最中だった。
「(出てくる数が減った...?私の感じた気配はもっとあったぞ...?)」
そんな風に思った時にはもう遅かった。
天を裂き、同族を喰らいながら現れたのは人と西洋竜を掛け合わせたキメラとしか表現できない四足歩行の巨大な怪物だった。
「お前が亡霊共のボスか」
怪物の咆哮と共に全てが震える。
そして...
「うっ...なっ...」
知覚できなかった
人間が考えるよりも早く、体を動かすよりも早く怪物は桜の右腕を軽々と吹き飛ばした