六畳の畳部屋 夏風が通り過ぎて
固まった空気と私の心をほどく
チックタックチックタック
時計の音がするっと入り込んできた
縁の下に忘れられた植木鉢と私
飛行機雲に手を伸ばし「寂しい」と笑う君
ひとりぼっち超えてふたりぼっちになれたらな
りんっ
と何処からか夏の音が聞こえた
地球には
それはそれは大きな
鯨が住んでいるらしい
毎日悠々と
あの広い空を泳いでいる。
それでも誰も見たことがないのは
大きすぎて
地球を覆い尽くしているからだそうだ。
その鯨は
絵具で描いたような
薄青色をしている。
なるほど
それで空は青いのか。
生きていく理由があると
それを失ったとき
本当に生きていけなくなるから
見つけようとはせず
作っていけば良いと思う。
自分の中に作ったものは
自分が消えるまで
寄り添ってくれるはずだから
寂れた地元のスーパー
電灯に群がる蝿
右上が剥がれたポスター
駐車場に僕がひとり
枝毛が目立つ茶髪
左手のいくつもの傷
煙草を吹かす
何度も咳き込む
18歳の夏