あいつには届きやしない。
私の声も心の声も。
無視して都合が良いときには話しかけて
私はあいつの道具じゃないのにな。
あいつには届きやしない。
私の声も心の声も。
表面で頑張って笑う私を横眼に
あいつは嘲笑う。
あいつには届きやしない。
届かないよな。
自分が完璧だと思っているあいつには
こんな私の声なんて届きやしないよ。
こんなことなら
始めから一人でいれば良かったのに。
馬鹿馬鹿しいな。
馬鹿馬鹿しいね。
今日こそは
今日こそは
その今日が来ない
いつまで経っても私はこのまま
貴方に思いを伝えられない
勇気がない私
遠い南の島で生まれた恋心
胸の奥がざわめくの
真っ暗な部屋でTVをつけましょう
まだまだ遠いわ タイフーン
青い天気図はまるで心模様
白い線は淋しさの数
だんだん間隔が狭くなってゆくの
週末はこの街も タイフーン
あの淡い恋の苦しさもぜんぶ
吸い込んで… 吸い込んで…
揺れるカーテンから見える
夕焼けの色はピンク
こわいからあなたに電話をするわ
あした家に来て タイフーン
厚い雲が東へ流れてゆけば
あなたが来るころね
紅茶を入れてそっと待ちましょう
ドアが開いたら タイフーン
あの淡い恋をよみがえらすの
嵐を呼んで… 嵐を呼んで…
風がガラスを叩きはじめて
街も電車も止まるの
今夜ふたりは台風の目になるのよ
ベッドの上には タイフーン
ねぇもう音楽やめてもいいかな
誰も望んでないみたいだから
今からバスケしたりとか
就職とか目指してもいいかな
まともじゃないとは思わないけど
つまりまともだったつもりだけど
いやまともでいたくはなかった。
まともがかっこ悪いと思ってた
ただ歌ってるだけだったんだから
勝手にやめて明日から働け
頭ん中言い聞かして
それでいい気がしてた
朝が来たら怖くて眠ったし
夜が来たら君思い出したし
だけどもう真夜中だから
って言うかそんなに仲良くもないから
あぁ僕ってば何物でもないのだ
傷ついたふりをしてただけなのだ
頑張ってなどいない
ホントのことだから困っちゃうね
優しさだけで息を吸えるなら
僕はそれほど優しいつもりだ
だけど君のとなりにいるには
優しさだけでは勤まらないのだ
そもそも僕は優しくないかも
自分勝手な臆病者かも
こんなふうに世界の全てを
鏡に移して見てたつもりだし
言葉に出したその瞬間に
反対の声が喉をつついて
もう全部忘れてしまえばいい
もう全部やめてしまえ
あぁ僕ってばくだらないのだ
きつい話で笑ってるだけだ
感動もあげられない
ホントのことだから困っちゃうよ
優しさだけで出来てはいないし
だけど君が本当に好きだし
もうギターとか弾きたくないけど
こんな気持ち歌じゃなきゃ言えない
空が綺麗だった。
本当にそれだけなのだけど…。
灰色と桃色の混じり合った薄い雲は、人混みのビニール傘越しに見ると本当に美しくて…。
気がつけば、駅とは反対方向に走り出していた。
いつもなら立ち止まって直す、スカートの裾の乱れも気にせず、水を含んで重くなったスニーカーを励ましてひたすら走った。
あの雲を、もっと近くで見たかった。
走って、走って、走って。
見たこともない住宅街に来ていた。
誰もいないアスファルトの水溜りには、やっぱり薄い雲が…映っていなかった。
そこにあるのは、ただただ黒いだけの闇で。ふと顔を上げると、もう桃色の雲なんか跡形もなく消えていて、星ひとつない、清々しいほどに真っ暗な空が広がっていた。
スマホの充電は切れていた。
私は呆然と、なぜかはっきりと覚えている歩いてきた道を辿った。
次の日、風邪をひいたのは言うまでもない。
家を出た瞬間に
突然の大雨
えっ
自転車なんですけど…
上着も着てないんですけど…
んー?天然のシャワーかな?
うわぁ~!びちゃびちゃだぁ~!
アハハははっ!はハッ!
…はぁ…さむ
↑この人が今も生きてるのはタオルとパーカーを貸してくれた親切な方がいたからです。
感謝。