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 壁

賢い人というのはクラスに一人はいるのです

クラスの誰もがその人が賢いことを知っている

誰もがその人と、

いま自分が話しているのは賢い人だ

と思いながら喋るのです

そしてこんなことを言います

賢い人と何を話せばいいのか分からない、とか

すごい論理的に喋りそう、とか

挙句の果てに様つけて名前を呼ぶ人までいる

どうかお願いだから

賢い人との間に壁を作らないでください

クラス1の人気者と喋るとき、

運動神経が一番いい子と喋るとき、

みんな壁なんて作らないのに

どうして賢い人と話すときだけ壁を作るのですか

一緒に喋りたいだけなんです

友達になりたいだけなんです

みんなが壁を作るから

賢い人は孤独だ、と何かの小説に書かれるのです

どうかお願いだから。

今にも壊れてしまうくらい弱い、

とある賢い人からのお願いです

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心は春休み

芽吹き始めた木々たちが
まぶたをくすぐるの
本当のことを云えば
あの人を見かけたから

陽差しが影をつくってた
昼下がりの交差点
春の風が運んできた
切なすぎるシルエット

打ち明けられず時は過ぎ
制服着てた私達 卒業してしまった...

今もアルバムの片隅にある
二人で写った写真
なぜか平気な顔してた
涙がポツンと落ちたの

手紙も出せずに時は去き
大人になった私達 変ってしまった...

芽吹き始めた木々たちが
胸をくすぐるたび
あなたを思い出すでしょう

もう戻れない春休み...
もうすぐ終る昼休み...

もう戻れない春休み...
もうすぐ終る昼休み...

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

先生が窓辺で梟と話をしていた。
「先生?その子は??」
話しかけた私に気づき振り向く。
『可愛いだろう?この子が郵便配達をしてくれる。』
私は窓に腰掛ける。
「聞いたことある。伝書鳩みたいなお仕事よね?」
『あぁ。きっと鳩よりは賢いぞ。』
そう言って梟を差し出す。
「触っていいの?」
『この子は触っても問題ないさ。』
「この子がいるって事はお手紙、来たの?」
『いや、手紙を出すんだ。』
「へ〜、何処に?」
『そろそろ薬草がきれそうなんだ。』
「魔法の世界の薬草が必要なんだっけ?」
『あぁ。手紙を出せば送ってくださるからな。』
「あ、もしかして自分の事を尊敬してくれるから尊敬してる人?」
『よくわかったな。』
「先生、敬語になったから。」
『いつも人がいないときにこの子を送ってるんだ。』
「その人、きっと優しい人なんだろうね。」
『優しいさ。君は今、暇か??』
「えぇ、暇だけど?」
『ちょっとこの子を持っていてくれ、手紙を結びたいから。』
そう言って私の腕に梟を移す。
「お手紙はもう書いてるの?」
『あぁ。あとはこの子の足に結ぶだけだ。』
そう言って先生は手紙を足に優しく結ぶ。

『さぁ、おいで。』
先生は梟に話しかける。
『見ていろ。いくぞ?』
「うん。」
先生は少し手を引き梟が飛びやすいように助走をつける。
名一杯出した右手から梟が飛び出す。
「これでちゃんと届けられるの?」
『あぁ。向こうから来た子だ。あとは家に帰るだけだ。』
「先生も動物には優しんだね(笑)。」
先生は少し照れくさそうに笑う。
『バレたか(笑)』

私は先生に魔法の世界での話を詳しく聞いた。
先生の横顔を眺めながら、私は新しい秘密を受け取った。
二人の秘密。
誰にも言わないようにそっと胸の中にしまった。