いつもは素っ気ない君のLINEが
今日はやけに長いメッセージで
私には分かってしまう
これは君が嘘をついている証拠
悲しいことにも礼儀がある
黙々と涙を流して
悲しいことに向き合うのよ
だから私も泣くのだろうなと思ったけれど
あれ、涙が流れない時があったの
そうよ、多分私礼儀知らずだから
悲しい時も心の中は雑音でいっぱい
悲しいことにも礼儀がある
けれど私はマドラーでかき回したみたく
マーブル状になっていて
礼儀通りにはいかないわ
死ぬって怖いことなのー?
怖いじゃだよ。
生きるって楽しいことー?
これが楽しいくないんじゃよ。
じゃあなんでこの世に、存在してるの?楽しくない人生を、生きて、最後は、怖い死をとげる、そんな一生なのになんでこの世に、存在してるの?
それはのう、………。
なんで答えてくれないの?本当に意味がないの?
…たしか、何かの歌の、歌詞にあった言葉じゃけど「生きてる意味は、自分で作る」という歌詞があったような…。
自分で楽しい人生も、作れるけどあなたのような、楽しくない人生も、作れるってことね!
まぁそうなるのう
なら、早いうちに、しっかり勉強して自分で楽しい人生を、作らないとね!
そうじゃぞ早いうちにしとかないと、わしのような、楽しくない一生を、過ごすぞ。
どこへ行こうか
目覚まし時計が騒ぐ頃
この怒りも哀しみも
崩れた公園の砂場の城も
それでも見たい未来、成したい夢
はち切れそうな心臓を手の中に
どこへ行こうか
ただただ大きいだけのトランクを
この小さすぎて弱々しい身体を
持って、走って、ゆっくり
行こう
ただ君の匂いがする方へ行こう
嘘に嘘を塗り固めて作ったケーキを
みんなで分けて食べよう
それで笑ってサヨナラしよう
満開の桜もいいけど葉桜も綺麗だよねって
きみがあんまり素敵な顔で言うから
あたし
葉桜ってさみしいし
ちょっと見窄らしくて惨めな気がするって
言えなかったの
朝、自分で早く起きる
コーヒーを飲んでみる
頭を下げて挨拶をする
難しい本を読んでみる
ファッションに気遣う
用もなく街を散歩する
貴方に届くための
ほんの少しの背伸び
それから1人の時間が始まった。夏休み中だから、ずっと1人。
本を読んだり音楽聴いたり。気が向いたら課題もするけどやる気が出ない。
♪ピコピコ
LINEだ。
『やっと一通りの片付けが終わったよ』
写真付きで送られた。ここの部屋かな?ちゃんと○○のグッズがあるよということが強調している。分かってるよ。
「きれいだね。さすが」
ここは褒めてやる。事実だし。
『ホンマに?笑』
「引っ越ししたてで汚い人そんなおらんと思うが」
『そっか笑。ありがと。じゃね』
終わり。こういうたわいもない話だけ楽しい。幸せ。本当に繋がっているのさ。
今日の空には、羊の毛のような雲があった。
カシャと少し控えめな音を鳴らしてシャッターを切る。
『何ともない日。可愛い空。明日にはどこに行ってるのかな』
今日も幸せだな。
すっかり1人だけど。
明日会うのは 当たり前
そんな明日 あるのかな
生きているとは 当たり前
そんなへりくつ あるのかな
自由に歩く 当たり前
そんな空想 あるのかな
あの本
私が届かなかった本
手を伸ばしても
背伸びしても
高くて届かなかった
隣にいた君が
背伸びもせずに
手を軽く伸ばして
その本を取った
はい
私の手の上に載った本
さっきまで
あんなに高くにあった本
あんなに届かなかった本
それが今手の上にあって
隣で君が笑っている
何なのこの状態
手の上の本は
思ったより重たくて
そして何故か温かい
この本は買うべきか
悩んで悩んで
レジへ向かう
君もついてくる
歩幅はぴったり
本当何なのこの状態
嬉しい
毎晩怒鳴り声が響く
机を思いきり叩く音
空気が震動するような、それでいて張り詰めた家
ロクに睡眠も取れず、食事もできない
それが僕の日常だった
あの時、僕の中で何かが壊れた音が聞こえたんだ
精神がすっと凍りつくような
凍てついた思考が家を捨てる選択肢を容易に取らせた
古い考え方をしている家における僕の価値を逆手に取った大胆な、それでいて緻密な復讐
もう僕は家には戻らない
連絡も取らない
それが不思議ではない世界に飛び込んだ
これもすべての計画通り
なに一つ踏み外さず進んできた
親はその内気付くだろう
僕の復讐に
けどもう遅い
1年前のあの日
僕が家の扉を閉めたときに全てが始まって終わっているのだから