気付けばそこは、雲だった。
上を見上げると夕焼けよりかは少し薄いオレンジの空で、地面は雲だった。
「ここ、どこなの?」
「言ったじゃん。天国」
「どういうこと?」
「話すよ。良い?」
「う、うん」
「俺はね、死んでいるんだ。だから、ここが住んでいる所なんだ」
どういうこと?死んでいる?生きているじゃん。
「前に歳とか家とか仕事のこと、君に聞かれたの覚えてる?」
「え、うん」
「あの時俺、曖昧だったでしょ?」
確かにそうだ。歳は教えてくれないし、家も仕事も。
「あれは死んでいるから答えられなかっただけ」
「ウッッ」
泣いてしまった。カズにいちゃんが死んでいるという話は、「本当」に近い。きっと嘘はついていない。こんな場所、地球にない。信じるしかない。
「とりあえず、ゆっくりしていいよ」
そう言って、歩きながら消えていった。
それを見て僕はまた涙が出た。
何も見えないその場所でポターン ポターン
音がなったよ?何か聴こえる その場所で
ヒソヒソ 音が聴こえたよ?
何かが見えた 冷たい顔した綺麗なあの子
うつむいてしか見えない世界を知った
全てを失った朝の美しさをみた
昔みた夢の曖昧な記憶が
今もこの涙を拭っている
くだらない忙しさに囚われて
心を亡くしていませんか?
この僕を創りあげた君の指先は
この世界を色付けるには充分すぎた
僕も僕を殺したよ。
良いことも悪いことも全部忘れたよ。
こうやって君の隣にいたよ。
全ては君のため。
夜は好きでも朝は嫌い
布団の中渋る15分
はやくしろとアラームが喚く
ちょっと待ってよ
私は急ぐのが苦手なんだからさ
今日も外へ疲れに行く
笑顔を貼り付けに行く
私の夜へ戻るまで