ねえその笑顔の中に
何があるかな。
探ってしまう
どんどん奥深くまで
笑顔に隠さないで…
本当の気持ちを
本当 を教えて。
貴方の特別な人になりたい。
あの人を想えば想うほど遠いのに
夢にまで見るのは
想われてるからじゃなくて
想っているから。
絶対誰にも言えない、気持ち
ライン や インスタ のように
ともだち や フォロワー が沢山増えることは無く
大切な人だけ
連絡を取る人だけ
連絡先を交換して。
メールを開けて
既読とか付かないから、
ただ返信を待って。
スタンプなんて送れないから
シンプルな顔文字で精一杯の気持ちを込めた文章で。
ぽちぽちボタンを押す動作とか
ちっちゃい画面とか
ああ懐かしい愛おしい
あの頃の時間も懐かしい愛おしい
『だーれだ。』
いつもの窓辺に行こうと歩いていると、ちょうど同じタイミングで窓辺に行こうとしていた先生に目隠しされる。
「ねぇ、声を変えないってありえないでしょ(笑)?先生ってバレバレ〜。」
『バレたか〜(笑)。』
先生が手をほどいたので、振り返る。
『誕生日、おめでとう。』
先生は花束をさしだしながら、キラキラと眩しい笑顔で笑う。
「はっ?」
『え、嫌だった?』
「いや、なんで知ってんの?誕生日。」
『教師をなんだと思ってるんだ〜?学校に提出してる書類見た。』
「それ、犯罪……?」
『大丈夫だろ、生徒の誕生日を祝っただけだ。』
「まぁ、訴えないけど(笑)。」
『なぁ、受け取るのか?受け取らないのか?』
「ありがたく、いただきます。」
私はニカッと笑った先生から花束を受け取ると匂いをかいだ。
「うわ〜、いい匂い。」
『カルミアって言う花。花笠シャクナゲ。』
「シャクナゲってこんな形なんだ、凄く可愛い。」
『気に入ってくれたみたいで良かったよ。』
「ありがとう(笑)。」
私は耳に髪をかけながら、お礼を言う。
『ほら、ずっと持ってたらせっかくの花が枯れてしまう。部屋に戻って花瓶に入れよう。』
部屋に戻ると、アルがケーキの準備をしていた。
“お誕生日、おめでとう。”
私達は、このひとときの時間を楽しんだ。
一年にたった一日しか来ない日。
この日を大切にしながらも、「来年もまた今日みたいだといいな」と笑った。
カルミアの花言葉のひとつが『笑顔』だと言うことは、先生だけの秘密。
そして、怖い花言葉がある事は私だけの秘密。