ねぼけまなこでベルトがあった場所をなぞる
僕にだけ与えられるアイテムと音声と決め台詞と、
一緒に戦ってくれる仲間がほしい。
自分の布団で寝ていると、誰かが階下からここへ近づいてくる。
掛け布団を被ろうと手を伸ばすが、寝ぼけているからなのか、上手く腕が動かない。
気付くと自分の布団の側に父親が立っていた。
何かを言っているようだが、よく聞き取れない。
今何時なんだ…?と思いつつ、よく動かない腕でスマホのホームボタンを押す。
すぐにまだこんな時間だよと言わんばかりに父親にスマホを見せつける。
少しだけ見えたホーム画面がいつもと違ったのは気のせいだろうか…
という所で目が覚めた。
なんだ、夢か…と寝ぼけた状態で布団を被ろうとするが、なぜか腕が動かない。
というか、体が動かないのだ。
あれ? これって金縛り…と思ったところで、自分の側から誰かの泣き声が聞こえてきた。
寝ぼけ気味で姿はよく見えないが、「お母ちゃーんお母ちゃーん」と小さい子どもが泣いているようだ。
最初は弟妹かと思ったが、すぐに声が全くの別物だと気づいた。
「幽霊」
その2文字が脳内に閃くと共に、思いっきり目を瞑った。
多分、“奴”に起きているのがバレたら死ぬ、そう勘づいたからだ。
精一杯目を瞑っていると、側に立っている“奴”は泣きながらこの部屋から出て行った。
あー良かった、そういえば二段ベッドの上の段で寝ている妹はこれに気付いてないのかしら…
と思った所で目が覚めた。
全身ジットリと寝汗をかいている。
恐る恐るスマホに手を伸ばすと、画面は2時49分を指している。
布団に入ってからまだ30分くらいしか経ってないのか…
明日も早いから寝なきゃ…と寝ようとするが、また恐ろしい夢を見そうで寝るのが怖かった。
今度こそは、怖い夢を見ることはなかった。
春、花曇り
夏、炎天
秋、夜長
冬、雪月夜
また春、朝桜
また夏、足早な夕暮れ
空を見上げるといつもあなたが照らしてくれた
わからない
突然あなたが言ったこと
わからない
あの日のあなたの胸の内
わからない
あなたがいない生活を
だってまだ夏が二度訪れただけ
でも、
私は知らない
あなたほどの優しく温かい輝きを
あなたの輝きは心の奥まで染みている
私はあなたの輝きでできている
光を抱えて生きてゆく
だから
大丈夫
いつでもあなたがそばにいる
あなたは私の陽の光
一生懸命伸ばしたとて70センチの私の腕が
困ってる君に届いたらいいなって思うんだ
一生懸命広げたとて15センチの私の手が
哀しむ君に触れられたらいいなって思うんだ
70センチの腕と15センチの手で
君を包めたらいいなって思うんだ