君に届けと
必死で伸ばした手のひらは
いつも空を切って僕のとこへ帰ってくる
君はいつも少しだけ遠くにいて
寂しそうに笑ってる
「ここまでは届かないよ」
そうかもしれない。
でも、僕は手を伸ばす。言葉を紡ぐ。
君に届け。届け。
うんと伸ばした指先が
君のこころに触れた、気がした。
何を
何を
書こうか
何を
書こうか
迷って
迷って
迷って
23:55分になる金曜の
つらさ
後悔 (笑)
「あんまりしつこく手紙を送り付けてくるから、とりあえず話は聞くってことにしたのよ。それで、話を聞いた後に適当な理由をつけて断ろうとして…」
「そこに丁度俺がいた、と」
少女はふふっと笑う。
「報酬に置いてあるだけの”使い魔”が欲しい、って言ったらすんなり依頼を取り下げてくれると思ったんだけどね…」
まさかこうなるとはね、と少女は呟く。
「でも少し気になってたのよ。100年前、人々から”天才”と呼ばれた魔術師の”最高傑作”がどんなものか」
だからちょっとくらいは、主人をやっても良いかな〜って、と少女は続ける。
使い魔はふーん、とだけ呟いた。
「どっちにしろお前は借りるつもりでいたわよ…その逆さ十字の耳飾りを見た時から」
そう言って少女はにやりと笑ってみせた。
使い魔は、あの野郎…と腹立たしげにこぼした。
「作った人間のことをそんな風に言う使い魔なんて、初めて見たわ」
まぁ、悪趣味で有名な魔術師だし…と言って、少女はまた前に進み出す。
「…お前にだって容赦はしないからな」
別にまだお前の物じゃないんだし、と使い魔は少女を睨みつける。