52ヘルツのクジラ
その鳴き声は 他のクジラには聞こえないらしい
とても孤独で寂しいだろうな
僕も52ヘルツのクジラだから
あなたの声を聞き逃さない
そんなこと言ったら 傲慢すぎるかな
一緒に泳ぎ回ろう
あなたは1人じゃないから
短い季節に袖をとおす
少し肌寒いのは日陰のせい
まんざらでもない愛情の力
振り向いた先に誰かが笑ってる
消えかけの飛行機雲だ
まるで僕らの道しるべ
強くあろうとか思わないし
強くなろうとも思わない
柔らかい手首はいつだって
剥きだしのまま働いているのさ
昨日の大雨で
遅咲きの八重桜の花まで散ってしまった
私の表情からは
きっと、不安は消えたんだろう
一緒にお弁当を食べるひとがいて
おはようって微笑むひとがいて
私の生活概ね順調なはずなのに
まだ私のほんとは猫を被ったまま
慣れないメイクの下の私を
まだ誰も知らない