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蝉たちの8日目

目覚ましが鳴っている
秒針の音に似た鼓動がもう急いている
明日こそはと意気込んで目を閉じるけど 
「起きなきゃ」心が口を指差し笑う

夕焼けは見飽きてしまった
明日一緒に朝焼けを見に行こう
ほら、またスケジュール帳いっぱいにして
「まただ」口が心を指差し笑う

まだ死んでもない、
なんなら少し嫌いな友達のアイツを
夢にまで出すほどの僕は
何から何まで正真正銘の地球人だった

To me, my best friend.
いつもの癖で今日と手を繋いでしまった
ごめんね君の力になれなくて
けどね、昨日よりは少し
キラキラしてる今日だと思えたんだ

ふとカレンダーを繰って驚く
感覚だとあれから今までざっと一週間
今はちょうど金曜日くらい
「あともう少し」心が心を指差し笑う

そろそろフィラメントが切れる
時間があると余計に考えてしまう
それなら土曜か日曜が潮時か
この痛みに慣れ切ってしまわないうちに

To me, my best friend.
いつもの癖で昨日の方角を振り返る
ごめんね君は君しかいないから
けどね、キラキラとは言えないけれど
昨日よりはマシな今日だと思うんだ

バイオリンもティンパニもクラリネットも
無いけれど僕は指揮棒を振って
たった1人ステージで描く無音の叫び

明日、なんなら今日すら見えないけど
僕は頼りない薄い羽を振って
たった1人明日への幹にしがみついてる

To me, my best friend.
もう伝えることはないから飛んでいけ

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能力者夜を往く その④

(……ん?)
ふと覚えた小さな違和感。トモちゃんは少女を高く掲げ、そのまま握手を求めてきている。いくら何でも、女の子の力で少女一人を支えることなんてできるんだろうか。持ち上げられている方の少女に目を向けると、確かに2本の腕でしっかりと腰の辺りを支えられている。
(…………んん?)
差し出された手の方に視線を戻すと、自然と彼女が片手を腰に当てているのが目に入った。
「……ッ⁉」
違和感の正体がようやく理解できた。寧ろ何故今まで気付かなかったのか。腕が多すぎるんだ。
トモちゃんは、突然飛び退いた自分のことが良く理解できていないかのように首を傾げている。まさか、これが『能力』ってやつか?
「えー……っと、トモちゃん……さん……?」
「はいはいトモちゃんです」
「トモちゃん、も……その、能力者……だったり……?」
「うん、そうだねえ。私はねぇ、同士のことが分かるんだ」
どうもおかしい。てっきり、腕のことについて何か言及されると思っていたのに。
「あーっと、つまり?」
「簡単に言うとねえ、能力者がちょっと光って見える」
「それじゃあ、その腕は?」
「うで?」
トモちゃんは自分の両腕をしばらく見つめ、ようやく思い出したように少女を自分の腕で支え直し、床に下ろした。
「で、腕って何のこと? 私の腕、別に変な形してないと思うんだけど……」
「いやいや、今あからさまに起きていた怪奇現象の話なんですが……」
「?」
何故理解してくれないのか。
「……あ、でも」
何かを思い出したようだ。
「君みたいな反応をした子が、もう一人いたなぁ。もうちょっと怖がってたけど」
どうやら、おかしいと思ったのは自分だけでは無いらしい。
「その人は?」
「んー、あの子は夜が好きじゃないからなァ。夕方にでもここに来れば、あるいは会えるかも?」
「そうなんすか……」
とりあえず、その人と会った方が良いだろう。トモちゃんの周りでゆらゆらしている正体不明の腕をいつまでも放置しているのは不気味でならない。少しでもヒントが欲しい。

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浮気をした元彼へ。

大好きだったよ。

たくさん、抱きしめてくれてありがとう。
手を繋いで、温めてくれてありがとう。
人を好きになることの楽しさを教えてくれて
裏切られたときの哀しさを教えられて。
私はこれからどうしたらいいのかな。

そう問いかけても、君はもう隣にいないね。

私の知らない可愛い子の隣にいるんだよね。

私以外に好きな人がいたなら先に教えてよ。

ばいばい。

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くもりぞら

きみがいれば
雨だって幸せと思えるのに