表示件数
0

ユーラシア大陸縦横断旅⑥

「お呼びですか?」「クアラルンプール来るの初めてで、市街地への行き方が分からないのに、言葉も通じなくって…」「市街地のどの辺ですか?」
「ペトロナスツインタワーなんですけど…」「俺もちょうどそこ行こうと思ってたので、ご一緒しますね」「ありがとうございます。お兄さん、お名前伺ってもよろしいですか」「○○(俺の本名)です。」「かなり珍しいお名前ですね」「そりゃそうでしょう。自分、純日本人じゃなくて日韓ハーフなんですよ。それで、親が日本語でも韓国語でも呼びやすい名前にということで付けてもらったんですよ」
「お兄さんの下の名前って、漢字だとどう書きますか?」
俺が名前の漢字を書いてみせる
すると、向こうが驚いた
「え?もしかして、東京の兄貴?」「じゃあ、もしかして、君は俺がいつぞやの初夏に恋して忘れられなかった九州の妹分?君の名前の漢字ってこうだっけ?」
とりあえず九州にいる想い人の下の名前書いてみる「私の名前、それだよ!というか、あの時私に恋してそれ以来忘れられなかったの?」
「そうだよ悪かったな。あの時、オープンチャットで君に恋してお互いやり取りできなくなって以降、俺の好みに合う女性に巡り会えなくて、君のこと忘れられなくなってな」「そうだったんだ…
実は、福岡発だとまだクアラルンプール行きの直行便ないの。だから、バンコク経由かシンガポール経由なんだけど、安かったのがバンコク経由よ。
でも、鉄道旅でバンコク経由してラオス行くから、また戻る感じになりそうだけどね」
「え?バンコク経由して列車でラオス行くの?」「うん。ラオスからは中国が作った国際列車で雲南省昆明まで行って、そこから高速列車で北上して北京、モンゴル経由でロンドンまで行くの」「俺のとルート一緒じゃん。切符のデータってある?」「はい、これ」「こんなことってある?全部同じ列車だ。しかも、指定席は隣だし、寝台列車は2人用相部屋なんだけど寝台は俺と同室じゃん」「兄貴、これからロンドンまでよろしくね。」「こちらこそよろしくな。ここ、クアラルンプールもヨーロッパはベルギーのブリュッセルも、ロンドンも一度は訪れたことあるから、案内は任せてよ。」
そう、俺はかつてオープンチャットで恋した後輩のまだ見ぬ女の子と再会(?)したのだった
列車が来る時間が近づいたので、2人分荷物を持って駅へ行く。

0

ユーラシア大陸縦横断の旅⑤

前泊まった時はここのホテルで朝飯食えずに朝イチの空港シャトルでターミナル行ってすぐにデンパサール行きに乗ったよなぁ
朝飯はビュッフェか
イスラム教を信仰する人が多いから、料理もハラールの物が多いなぁ
この国は他民族国家だから、他の国の料理も選択肢に入ってるけど、まあいいか
朝からカレーも食っちゃえ!
だいぶ食ったなぁ
さて、チェックアウトまでは時間あるし、空港行こうかなぁ
「バンコク乗り継ぎだったけど、無事着けてよかった〜」
え?今の日本語だよな?それも若い女性の声?
というか、この人は日本から安く行ける直行便あるのに、なんでバンコク経由という選択肢取ったの?そんなことを疑問に思ってた
「どうしたらいいの、言葉が通じない…」
「『どうしたらいいの』ってこっちが言いたいよ…
チェックアウト済んだはいいものの、この観光客助けてたら本数が少ない速達列車に乗り遅れちゃうんじゃないか?ここ、駅から少し離れてるもん」と思わず日本語で言ってしまった
「そこのお兄さん、ちょっといいですか?」
呼ばれたら無視することはできないもんなぁ
しょうがねえ、一本後の特急乗るか
あの時はこの会話から運命の出会いになるとは思わなかった

0

ユーラシア大陸縦横断旅④

やはり海外、日本とは違って列車延着しちゃったなぁ
まあいいか
接続時間2分になって晩飯食い損ねたたけど、今夜の宿の最寄り駅まで行く最速達列車の最終便に乗れたんだから
でも、旅先で現地の料理を食べるのが好きな俺に取って、晩飯食い損ねたのはツラい…
好きな人に告白してフラれるのと同じくらいのダメージなんだけど(泣)
KLIAのホテルまで行って一泊して、明日はKL市街の観光して最終のバンコク行き特急に乗るというところは変わらないな
懐かしいなぁ、この車内
俺が小5の頃と変わってないじゃん
KLIAのホテル、そこはかつて俺が家族旅行でバリ島を訪れた時に飛行機の時間が合わなくて翌朝のフライトまで泊まっていた場所だ
ベルボーイの兄ちゃんもフロントマンのおじさんも、あの頃と変わっていない
チェックイン終わったし、晩飯食おうかなぁ
と思ったら、ホテルのレストランも営業時間終わってるじゃん…
仕方ない
朝まで我慢するか…
この時、俺は思いもしなかった
あの運命的な出会いをするなんてな

0

思考

いつも真実は曖昧で、だけど心のように繊細で
僕らはいつも貪欲で、だけど光のように輝いて
君はきっと正論で、だけどそれはマンネリで
正解はいつも、どこにもなく
    大人はいつも、押し付ける
 それでも保てていたのなら きっとそれが
   君の正解