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ある方の教え

他人は他人でしかなく

あなたを傷つける力など持っていない

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 参

「…今の方がマシだよ」
自由に外へ出られるしね、と黒羽は呟いた。
「ふーん」
でもさ、とカラスは言う。
「お前屋敷を出てから命を狙われてばかりじゃないか」
そういう意味では屋敷に閉じ込められてた方がよかったかもな、とカラスは黒羽の方を見る。
「別に構わないし…」
そう言いながら、黒羽は目の前を通りかかった黒い蝶に手を出す。
軽やかに舞う黒い蝶はふわりと黒羽の指先に留まったが、その途端にぽとりと蝶は地に落ちてしまった。
「あー今回もダメだったかー」
「お前本当に力の制御下手だな」
力を持ち始めて何年になるんだよ、とカラスは文句を言う。
「仕方ないもん、練習する機会ないんだし」
黒羽がそうぶつぶつ言っていると、彼らはふと妙な気配を感じた。
「これって…」
「ああ、もしかして」
黒羽とカラスがそう話し合っていると、急に物陰から黒い何かがとびかかってきた。
「!」
「下がってろ黒羽‼」
黒羽の肩に乗るカラスがそう言いながら黒い何かに飛びかかる。
その姿は黒いボロ布のような姿に変わった。
「コイツ‼」
カラスの姿をしていたモノがそう言いながら、黒い何かに覆い被さる。
黒い何かは暫くジタバタしていたが、すぐに動きは大人しくなった。
カラスの姿をしていたモノがふわっと飛び上がると、そこにはボロボロになった黒ネコがひっくり返っていた。
「ネコ…」
黒羽は思わずこぼす。

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ポエムじゃないし重いです

死は救済ってあるけど実際どうなんだろう
仮にそれが全面的に正しいとしたら殺人・自殺は是認されてしまうし、この世に生がある意味が薄まる、気がする。
でも9年近くうちにいてくれて今日亡くなった金魚は最後しんどそうだったから、動かない身体を見た時に「彼女楽になったな」って感じた。
人間の年齢に換算してもおそらく70歳、くらい。
若い方ではあるけど思ったより長くいてくれたし、夭折だとは思わない。
人為的に殺されるか時間(寿命)に殺されるか、だったら時間に殺された方が摂理に従ってると思うけど、自然界でいったら食物連鎖で捕食されるのも摂理ではあるし、それだったら人間の関わらない事故はどうなんだろう

…ってぐるぐる考えて、いつか死んだ時に可哀想って思われないように、あの人よく生きたねって周りの人たちが私の思い出話で盛り上がれるくらいに頑張って人生楽しめるといいなぁという結論に至りました。あと健康に長生きしたい。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑨

思うように動かせない身体をどうにか少しずつ捻って背後に目をやると、女王さまと似た見た目の中性的な少年が俺の背中に手を置いていた。
「彼女を攻撃しようって言うなら、ぼくは止めなくっちゃならない」
「な……何をした…………」
「わぁいミナト。紹介するよ、怪獣」
答えたのは女王さまの方だった。
「そいつが私の用事、っていうか探し人」
「へぇ……」
「私の恋人さ」
「そうかい……」
「まあ冗談なんだけど」
「ハッ倒すぞテメエ」
「ちょっとみっちゃーん? そいつ普通に動いてんだけどぉー?」
普通には動けてない。憎まれ口をたたくのが精いっぱいだ。
「しょうがないよ、ぼくは飽くまで干渉者だ。あらゆる時間は自然に流れたがる権利がある」
ミナトとやらの発言からして、こいつは『時間の干渉者』か。しかし、ただの干渉者に人ひとりの動きを止めるほどの力があるのか?
「ほら、喧嘩は良くないよ。今はその砂漠の異能者をどうにかしなきゃってところでしょう?」
ミナトの異能について考えていると、奴がそう言って俺から手を放した。身体の自由が急に戻り、反動でバランスを崩しそうになったところを駿竜の首にどうにか寄りかかる。
「ああクソ、そうだった……。駿竜」
指示を出し、まだ駿竜が咥えていた異能者を地面に落とした。その衝撃で意識を取り戻したようだ。

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お年頃?

解ったフリして、気づいたフリして
知ったフリして、悟ったフリをしてみるけど
本当は
解った気で居て、気づいた気で居て
知った気で居て、悟った気で居る。
「みんな大好き!愛してます!」
薄っぺらいその言葉に
「私もです!いつか会いたい!」
なんて擦り倒された言葉で返す。
そこに何の意味があんのって鼻で笑ってみるけれど
結局、私もその一部。
「うわ、病んでるね」
ってそんな言葉で片付けないで。
「そういうお年頃、自分もそうだった」
なんて一緒にしないで。
「ウザイ」とか「キモい」とか
そんな頭の悪い言葉なんて使わないで。
それだからきっと馬鹿にされんの。
優しさも思いやりも感謝も
ずっと前から聞こえやしないの。
要領よく生きてかなきゃねって
君がそんなこと言わないでよ。
四角い世界にいつから居場所を求めてたんだっけ。
笑い声は時に誰かを傷つけるの。
恋とか愛とか情とか、もう結構聞き飽きた。
悲劇のヒロインも正直、見てらんない。
けど、そんなのきっと誰もが思ってて
でも変わんないって事はそういうことで。
だから今日もまた知らないフリして
スカート揺らして歩いてるの。