変わってしまった
遠くが見えなくなった。
近くでしか聞こえなくなった。
高みを目指していた感情は
今やその高みも緩やかに沈んでゆき
その声一つ一つで刻み込まれた体の傷は
今や癒えるどころか装甲に身を包みからだには
もう傷が付くこともなく。
泥くさかった自分はいまは
汚れの目立たない姿になった。
甘言に甘えた。上昇を辞めた。
現状に甘える者が
変わることは出来るだろうか?
現状を断り、過去を捨て、安全地帯離れなければ
変わることは出来ない。
ゆえに変化を前に人は怖じ気づく
扉の前に立っていた
あぁ、この感覚はとても久しぶりだ。
“春”というものが
不安に包まれて足元に転がっている年
そう、お前がまたやってきた
変わってゆく 流されてゆく
流れ逆らい漂い辿り着いたこの島は
あの日想像も出来なかった場所
後悔?そんなものはないさ
そう笑い飛ばせるほど強くはないけど
宝箱は鍵がかからないくらいには溢れてる
旅立ちだ お別れだ
日常が思い出に変わっていく
愛おしくて寂しくてさびしくて
天邪鬼すら苦笑い
名残惜しくて手元の鍵をくるくると
不透明な約束だけが積み重なって
それでも大切な人たちと結んだことば
抱きしめて さあ行くか。