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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ⑧

「…別に」
何でもない、とネロはそっぽを向いたまま言う。
「何でもないって…」
耀平は呆れたように呟く。
「なぁネロ、どうしたんだ?」
耀平が心配してるぞ、と師郎もネロに尋ねる。
「…」
ネロは何とも言えない顔でこちらを見る。
「ちょっと、調子が良くないだけ」
ネロはポツリとこぼした。
「…ホントに?」
耀平は訝しげな顔をする。
「ちょっと調子が乗らないだけだよ」
ネロはそう言ってまたそっぽを向いた。
「…」
その場に微妙な沈黙が流れる。
誰もがその気まずさに耐えられなくなった時、ネロが不意にこう言った。
「ボクトイレ行ってくる」
え、あ、良いけど…と耀平は返す。
彼が言い終わらない内に、ネロは歩き出していた。

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Trans Far-East Travelogue㊵

俺達を乗せたエアポート急行は定刻通りの16:25 横浜に着いた
そして,長い行列に合わせて行進する要領で階段を下りて改札を通り,もう一度長い階段で地下へと下りると目の前に東急線の改札口が見える
更に地下深くの東横線ホームに下りると16時32分発の通勤急行・和光市行きの電車が入線して来た
天下の大ターミナルであり世界有数の乗降客数を誇る駅,横浜では乗客は勿論降りるお客さんも多く,まだ帰宅ラッシュが始まっていないのに早くも混雑の影響で遅延が発生している
そんな中、嫁に「これから東急線に乗る。電車は通勤急行だから集合場所は多摩川でも田園調布でも自由が丘でも構わない」という1通のメッセージを送ると返事が来た
「多摩川駅集合でお願い。4人で話し合いたいから,河川敷が良いかも」とのことだ
その旨を兄貴にも伝えると「丸子橋の近くの河原が丁度いいな。夕陽が綺麗な筈だ」と返って来たので「了解。多摩川駅には5時頃着くよ」と返信してスマホを閉じると知らぬ間に電車は地下区間を抜けて白楽の駅を通過している
そして,その勢いのままに妙蓮寺の駅も通過して定刻通りに菊名のホームに滑り込んだ
菊名に着いておよそ5分後,大倉山を通過して綱島,日吉の順に止まり,元住吉を通過して早くも武蔵小杉の駅に到着した
次の新丸子を通過すると,待ち合わせ場所の多摩川駅はもうすぐだ

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じさつ

消えないで
言われた瞬間体に力が入った

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ただいま

ただいま
今、生きてるから
ただ、今生きてるから
おかえりの言葉が帰ってくる。

おかえり

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直訳

きっと貴方は知らないだろう
私の笑顔のその意味を

きっと貴女は知らないだろう
私が放った言葉の意味を

きっとあんたは知らないだろう
私の抱えるほんとの悩みを

知る気も、きっと無いんだろう?
どうせ分かってないんだろう。

あなたに届く私の叫びは
直訳した英文みたいに味気なくてつまらない
だから、取るに足らない話題なんでしょ?

気づかなくていいよ、気づけなくていいよ。
全てを言葉通りに、表情通りに解釈して
好きに勘違いしてればいいさ。

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はるかぜと共に現れた旅人と過ごすのんびり生活 EP.2

あれからどれぐらい経っただろう。気がついた時にはすっかり暗くなっていた。
「ぽ、ぽよ…」(???)
アイツの声も聞こえる。どうやら2人とも気を失っていたようだ。
大丈夫かと声をかけようとしたが、その口から出てきた言葉は…
「ぽよぽよ!?」(僕)
アイツの声だった。
「ぽよ?ぽよぽよ!」(???)
しかも、アイツが話している方を見ると…なぜか僕の姿があった。
あー…これはこれで大変なことになったと直感が言っている。つまり、さっきの衝撃で体が入れ替わってしまっているのだ。
「ぽよ…ぽよぽよ?」(???)
ただ、同じ言語だからか、会話は成立している。そこで互いを知るためにしばらく話し合った。
初めに自分から話した。自分の名前、なぜここにいたのか、流れ星のようなものを見ていたらぶつかったことなど…
僕が色々話し終わると、今度はアイツから話してくれた。その結果、それなりに情報が得られた。
名前は「カービィ」。もちろん外観もおなじみのピンク玉だった。
なぜここにいるかというと、カービィ自体分かっていないらしい。プププランドをワープスターで散歩中の時に、いきなり次元の裂け目が出てきて、ここに飛ばされたのだという。
得られた情報はこれくらいだ。まあまあめんどくさくなりそうだな…
今ここで色々していても話が進まなくなりそうな気がしてきた。
「ぽよぽよ、ぽよぽよぽよ?」(僕)
「ぽよ、ぽよぽよ!」(カービィ)
家に帰ることを提案した所、すんなり受け入れてくれた。
こうして僕は、なぜか抱えられながら家に帰った。