「だって面白そうだもん」
夜の学校に行くなんて肝試しみたい!とキヲンははしゃぐ。
「お前遊びに来たんじゃないんだぞ」
あくまで“学会”からの依頼で来たんだ、とナツィは言う。
「それとかすみ」
ナツィはジャンパースカート姿のコドモに目を向ける。
「お前もなんでついて来た」
そう言われて、かすみはえ、えーとと目を逸らす。
「自分も楽しそうだなって…」
「バカかお前」
どうなっても知らんぞ、とナツィは吐き捨てた。
「とりあえず、中に入るわよ」
“学会”の関係者が先に鍵を開けてくれているみたいだから、とピスケスは校門脇の扉に手を掛ける。
扉は静かに開いた。
やさしくなりたいと笑う
あなたの声が
誰よりも、やさしいことを
あなたは知らない
強くなりたいと願う
あなたの瞳が
誰よりも、強く輝くことを
あなたは知らない
あなたがずいぶん昔から
私と会った、最初の最初から
やさしく、強い人だということを
あなたは知らない