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鏡界輝譚スパークラー Introduction Ⅰ

「ねぇお兄ちゃん、“カゲ”ってなぁに?」
いつかの夕暮れ、我が家への帰り道で、そんなことを兄に聞いたことがある。
「“カゲ”って言うのは…ぼくたち人間の敵だ」
「人間の敵?」
幼いわたしはそう聞き返す。
「そう、敵」
兄は優しく繰り返す。
「どこからかやって来てどんなものも“カゲ”に変えてしまう、とても恐ろしい敵だ」
兄は淡々と続ける。
「人間はずっとずっと昔から、“カゲ”と戦い続けてきたんだ」
兄の言葉に対して、わたしはそうなの?と首を傾げる。
「そう」
兄はわたしの目を見る。
「だけどね、光の力を持つ戦士達…“スパークラー”が僕達を守ってくれているんだ」
わたしは思わず、“スパークラー”と繰り返す。
「そう、“スパークラー”は“P.A.”っていう武器を使って、“カゲ”と戦うんだ」
兄は前を見る。
「…スパークラーはぼくらのヒーローだ」
ぼくも来年から“STI”に入学して、そんなヒーローになるんだ、と兄は明るく言う。
「お兄ちゃん、来年から”STI“に行っちゃうの?」
寂しいなぁとわたしが呟くと、兄は笑いながらこう言った。
「水晶(みあき)も、僕みたいになるんだろ?」
兄ちゃんが先に“STI“で待ってるからさ、と兄はわたしの頭を撫でる。
「いつか2人で一緒に戦おうな」
「うん!」
わたしは大きく頷いた。

2

作戦B

泣いててもいいことない
けど、泣いてても悪いことない

どうせ何も手につかないし
とりあえず泣いてみる

明日から作戦決行
まずは野菜を食べる

泣いててもいいことない
のに、涙があふれるから

しょうがなくて拭ってる
君の指先 そうぞうする

おだやかに作戦決行
まずは寝坊をやめる