ゴスファッションのコドモことナツィはちらとキヲンに目を向けた。
「子犬!」
可愛いでしょう、とキヲンはナツィに白い生き物をさらに近付ける。
「…興味ない」
ナツィはそう言って顔を逸らした。
「えーなんで⁈」
可愛いじゃん子犬ーとキヲンは騒ぎ出す。
「どうでもいい」
ナツィはそう言ってティーカップに口を付ける。
「ていうかさ」
それ本当に犬なの?とナツィはキヲンに訝しげな目を向けた。
「へ?」
キヲンはポカンとする。
「だってよく見たら頭に角生えてるし」
「角…?」
キヲンは白い生き物に顔を近づける。
消えたい、と言うと
そんなこと言わないで
と、返される
そいつは違うぜ
と、勝手に私は思う
絶望を口にして
心が救われるなら
いくらでも言葉にすべきだ
そして絶望を口にするのは
意外と、結構、勇気がいる
ので、
伝えてくれてありがとう
と、言って欲しい
と、勝手に私は思う
グロテスクな視線が
赤い頬に跳ねかえる
苦い 冷たい 痛い うわ滑る
少しずつ変な感じになる
ぼくは君の前でも少しも
酔うことが出来ない それもずっと
長く微弱な絶望を忘れるだけ