小さくも大きくもない駅の傍の、小さな人気のない公園にて。
どこか異質なコドモ達が溜まっている。
コドモ達は見た目は普通の人間と変わらないが、どこか雰囲気は人間と違うものを纏っていた。
「おーいナツィ〜」
滑り台の頂上から、金髪にカチューシャを身に付けたコドモがベンチに座る黒髪のコドモことナツィに手を振る。
しかしナツィはそれを無視した。
「こっち向いてよ〜」
金髪のコドモは不満気な顔をしたが、当のナツィはそっぽを向いた。
「…きーちゃんに手を振ってあげたら?」
ナツィの隣に座るジャンパースカート姿のコドモ…かすみはそう言ってナツィを諭そうとするが、ナツィは嫌そうな顔をするばかりだ。
「…ナツィ」
「めんどくさい」
ナツィはポツリと呟く。
「そもそも、なんで俺がコイツらの遊びに付き合ってやらなきゃならないんだ」
俺はかすみの所でお茶してたかっただけなのに、とナツィは不満気な顔をする。
今までにいただいた言葉たちを丁寧に抱く
大丈夫、まだあたたかい。
それから、小説の一節、お気に入りの鉱石、白熊、流れ星も寝床に連れていこう。
あす、めざめた先で凍えることがないように
あなたがくるまる布団をあたためておくためのあれこれを。
「こんちゃーっす!」
とある地方都市、クララドルの中心部の路地裏にある駄菓子屋に、バタバタと短髪で赤いパーカーを着たコドモがやって来る。
それに続いて色違いでお揃いのパーカーを着た4人のコドモと、1人の男が店内に入って来た。
「おばちゃん元気かー?」
「こんにちはー」
「こ、こんにちは」
5人のコドモの内4人は思い思いに店の店主に声をかけながら、店内の品物を眺め始める。
それに対し背広を着た大人の男はその様子を店の入り口で鋭い目で見つめていた。
「あ、これ新商品だー」
「ど、れ、に、し、よ、う、か、な〜」
コドモたちがどの駄菓子を買うか迷っている中、茶色いパーカーを着て髪を二つ結びにしたコドモがふとあることに気付く。
「ゲーリュオーン?」
二つ結びのコドモが、店に入った所で突っ立っている黄土色のパーカーを着て長い茶髪を高い位置で結わいたコドモにどうかしたの?と声をかける。
ゲーリュオーンと呼ばれたコドモは二つ結びのコドモに目を向けた。
「…別に」
ゲーリュオーンがそうそっぽを向くと、おうおう素っ気ないな〜とオレンジのパーカーを着た金髪のコドモがゲーリュオーンの肩に手を置く。
「ビィのことが気になるのか〜?」
金髪のコドモにそう絡まれたが、ゲーリュオーンは何でもないと自身の肩に置かれた手を払った。