「何かこう、『動けー』って念じたら動いてくれるんだけど……」
「それで動くなら全人類超能力者になってるでしょ」
「それもそっかー。……えっとねー、何と言ったら良いのか…………『魔力』? みたいなものをこう、浮かせたいものに込めてぇ……ほい、って」
ヘイローがテーブルの端に転がっていたシャープペンシルを指差すと、それは20㎝ほど空中に持ち上がり、数度回転してから再び机上に落ちた。
「えっと、上手く説明できなくてごめんね?」
「……………………」
ヒオは答えず、代わりに俯いて何かを考え込んでいた。
「ヒオちゃん? どうし」
ヒオの肩を揺すろうとした時、2人の間にヌイグルミが出現した。
『やァ、ヘイロー。どうしたんだい変身して』
「あれ、ヌイグルミ」
『そんな事より、また怪物が現れたンだ。君たちの出番だヨ、“魔法少女”』
「えぇっ⁉ わ、分かった」
『オペレートはしてあげよう』
「うんありがとう」
立ち上がろうとするヘイローの手を、ヒオが掴んで引き留める。
「ヒオちゃん?」
「私も連れて行って」
「え、分かった!」
ヒオを抱きかかえ、ヘイローは窓から飛び出した。
素敵なものばかりが消え
素敵な人ばかりが死に
世界は混沌に向かって堕ちていく
それでもぼくは、ぼくは…