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回復魔法のご利用は適切に!_3

_シオン転入から1週間。シオンは個性的なお嬢様に気に入られたアスリート体格の人として若干名を馳せつつあった。
「シオンさん!」
「うわーーーーっ!!!!」
エリザベスに耳元で大声を出され、シオンは柄にもなく叫んでしまう。
「まあ、お元気なようで何よりですわ!おはようございます」
「お…おはよう…リサちゃん」
のんびりとしているシオンとは対照的に、エリザベスはてきぱきと靴を履き替え、シオンの腕をぐいぐい引っ張り始めた。
「ほらほら!早く行きましょう!」
「わわ、待って〜」
「ああそうですわ、こっちを通ると近道になりますの。でも壁にひびが入っていますから、先生方に見つかると怒られてしまいますわ。この時間なら誰も通りません、行きましょう」
「う、うん」
エリザベスは申し訳程度に立ち入りを禁じているカラーコーンを跨いで階段を登る。シオンもそれにならい、ついていく。
「_ん?」
違和感。踊り場の鏡にはひびが入っていた。ひびからは僅かにだが水が染み出している。しかし、それだけだ。シオンは無視して通り過ぎた。

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回復魔法のご利用は適切に!_2

シオンは端の空席に案内された。気まずさを感じつつ椅子に腰を下ろすと、隣から声をかけられた。
「初めまして!」
彼女の顔はシオンの目線より少し低いところにある。整えられたボリューミーな赤いドリルツインテール、改造されてもはやゴスロリになっている制服が目立つ少女だった。びっくりして、シオンは挨拶を返すのが遅れる。
「…は、初めま」
「私の名前はエリザベスですわ!けれどエリザベスでは長いですから、リサとお呼びください!わからないことや忘れ物をしてしまった場合は私におっしゃっていただければ必ず力になりますわ!これからよろしくお願いします!」
「え、ええっと…」
シオンはエリザベスの勢いに押されて微笑むことしかできなかった。
「よ、よろしく…ね?リサちゃん」
「うふふっ」
エリザベスはご機嫌に笑うと何事もなかったかのように前を向いた。
_不思議な子と隣になっちゃったなぁ。
シオンはますますこれからの学校生活が不安になった。

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回復魔法のご利用は適切に!_1

始業開始のチャイムが聞こえた。
「あぁあ…そ、そろそろかなぁ…」
銀色の髪の毛を指に絡ませて呟いた少女_シオンは二学期からこの私立中学校へ通うことになった転入生である。転入という経験は初めてのことで、彼女は妙に緊張していた。
「…ふぅ」
そっと息を整えると、ちょうど担任がシオンを紹介したところだった。
『_では転入生を紹介します。どうぞ』
担任の声と共に教室のドアが魔法によって開く。
「!はい!失礼します」
大きな返事をしてシオンは一歩を踏み出す。_と、その瞬間だった。
「いたっ!」
シオンはドアの枠に頭をぶつけ、思わず悲鳴をあげる。……教室が静まり返った。痛みと空気感に耐えられず俯いたシオンに、担任は声をかける。
「…大丈夫ですか?」
「…大丈夫です」
シオンは緊張で失念していた。自分の身長がとても高く、大体の建物は入るときに頭を下げなければならなかったことを。

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回復魔法のご利用は適切に!設定

世界設定
(プチ企画として投稿されたものを一応確認はしてきましたが違うかもしれないです…)
魔法が一般的に使われている世界であり、都心には魔法の使える少女達の通う大きな学校がある。

シオン(主人公)
田舎出身の中学1年生、13歳。魔法についてはほぼ無知、あんまり頭はよろしくなく、ちょっと(かなり)脳筋な女の子。銀色でおかっぱっぽい髪をしている。たれ目で雰囲気はおっとり系だがとにかくでかい。身長も群を抜いてでかいが体格も良い。運動が得意。