170センチくらいの人型実体となった水は顔の部分をシオンたちへ向ける。と、顔の真ん中あたりから凄まじい勢いで水が発射された。
「うわっ」
シオンが足を上げて回避すると、水は床に当たって跳ね返り、不自然な動きでエリザベスの脛に命中した。
「っ!!」
「リサちゃんっ!」
穴は広くはないが足を貫通していた。
「わ、私が避けちゃったからかな…ごめんね、一旦逃げよう」
シオンはエリザベスをお姫様抱っこにして素早く発射される水を避け、階段へと少しづつ移動する。
「そこの階段、壁にひびが入っていますわ!崩せるかもしれません!」
「ああ、あの近道の…」
階段へ一歩を踏み出しかけて、シオンは足を止める。
「待って。ここの踊り場の鏡、確か水が漏れて_」
ぬるり、と踊り場に人型実体が現れる。シオンが踵を返すと、背後にも、人型実体がいた。挟み撃ちされてせまい段上で高速で発射される水を避けきるのは、いくらシオンといえど容易ではない。
「ど、どうしよう…」
「シオンさん、致し方ありませんわ。私の固有魔法で、下の階に無理やり降りますわよ!」
エリザベスは足元に向けて手を伸ばし、指を鳴らした。