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Gone

君への"I Love You."に,
dなんて付けたくなかった.

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑬

「家族が言うには昔突然行方不明になって、発見された時には記憶喪失に…」
あま音さんは呆然とするわたし達の方を見やる。
するとパッと明るい笑顔を見せた。
「あ、ゴメンゴメン」
暗い話しちゃったね、とあま音さんは手を振った。
わたし達は少し困惑するが、あま音さんはあ、とわたしのリュックサックに手を伸ばした。
「…このキーホルダー、私も持ってるよ」
彼女が手に取ったのは、わたしのリュックサックに下がっているウサギのキーホルダーだった。
「ほら」
あま音さんは自身の肩にかけているトートバッグのキーホルダーを指さす。
それはわたしのものと色違いだった。
「もしかしたら、私達友達だったかもね」
同じ小学校だったし、と彼女は笑う。
わたしは思わず目をぱちくりさせた。
周りの皆もその様子を静かにみていたが、ふとネロが何かに気付いたようにちらと後ろを見た。
「ネロ?」
耀平がそれに気付いてどうしたとネロに話しかけるが、ネロはパッと彼の方を見る。
「…ううん、何でもない」
ほら、行こうと言ってネロは公園の方に向かう。
わたし達にそれも続いた。