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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑳

「…あらそう」
本当に全部思い出したの?とヴァンピレスは首を傾げる。
「だとしても、わらわに勝てる見込みなどないわ」
何てったって、とヴァンピレスは鞭をわたし達に向ける。
「わらわは、ヴァンピレスなのだから‼」
そう言ってヴァンピレスは白い鞭を振るう。
しかしわたしの目の前にいる彼女はそれを易々と避けた。
「⁈」
ヴァンピレスが驚く間もなく、彼女はヴァンピレスに瞬く間に駆け寄る。
そして一瞬にしてヴァンピレスの襟首を掴んだ。
「‼」
ヴァンピレスはあっという間に身動きが取れなくなってしまった。
暫くの間、ヴァンピレスは離して!ともがいていたが、不意にヴァンピレスの襟首を掴む彼女は口を開いた。
「…私は。”ティアマト”」
異能力は、”目の前にいる者の記憶を消す”能力、と彼女は続ける。
「私の意志1つで、あなたの記憶は消える…」
ティアマトはそう言いながら、ヴァンピレスの襟首から手を離す。
ヴァンピレスは解放された拍子にバランスを崩してよろめくが、な、何よ!と後ずさる。