寂しいんだよ僕は毎年
気温が低くなって心細いんだ
僕は神様に会ったことがない
でも、僕がしっかりしないと
神様は安心できないから
僕はがんばるよ
電球がきれてた。
光らなくなった電球。
貴方みたい
と僕は呟く。
『まだ覚えてるの?』
貴方は今日も静かに眠りにつく。
欠ける何かから目を背けるように。
「『気づかなければ良かった。』」
「悪霊…………嫌な場所とは思ってたけど、本当にいるんだ」
「は? 見えて……ないんだったな青葉は、面倒くさ……」
「むぅ……」
渋い顔をする青葉に、千ユリはウエストポーチから取り出した物を手渡した。
「……え、何これ」
「飴。あげる。どうせ果汁入りでそんなに好きじゃないやつだし」
「え、ありがと……何か返せるもの……」
「あーいらないから」
「あ、良いなー。私にもちょーだい?」
「はァ? 嫌だよバーカ」
犬神には左の中指を立てて答える。
「えー意地悪ぅ。……けど、マジに何かいるのはマズいな…………」
頬を膨らませながらも、犬神は冷静に呟いた。
「ここにいる一般人の子たちに危害が加わるのはあんまり好ましくないから」
犬神の言葉に、千ユリが反応する。
「…………コイツらが逃げ出すようなことが起きれば、それで良い?」
「ん? そうなれば嬉しいけど……」
犬神の答えに、千ユリはニタリと笑い、ロリ・ポップを咥えた。
「なら、『奴』が姿を見せる前に、軽ぅーく脅して退場してもらおうか」
右手の小指がぴくりと持ち上がる。どこからか現れた、暗紫色の炎を纏った浮かぶ頭蓋骨が中学生らの周囲を飛び回り、千ユリの後頭部に突っ込むようにして消滅した。
「ッヒヒヒ、失せな雑魚共」
右の中指を立てる。敷地を囲む木立の陰で、がさり、と音がする。その場にいる全員がそちらに目をやると同時に、木の陰からぬらり、と武者の霊が現れた。
「う……うわぁああああああ⁉」
誰か1人が叫んだのを皮切りに、恐慌状態がその場のほぼ全員に伝播し、青葉、犬神、千ハルの3人を残して鳥居の方に向けて逃げ出していった。