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仔鬼造物茶会 Act 22

「だからそろそろ行かなきゃ…」
「は? 何言ってるんだ硫」
お前の帰る所はおれたちの元だろ?と琅はキヲンに向き直る。
キヲンはそ、そうなの…?と苦笑いする。
「今はどこの誰の元にいるのか知らないが、本当に帰るべきはおれたちの所なんだ」
だから、そんな所にもう行かなくていいと琅はキヲンの腕を引っ張る。
「で、でも、ボクは…」
「何、なんか文句あるのか⁇」
嫌そうな顔をするキヲンを見て、琅は訝しげな顔をする。
「お前の帰る所はおれたちの元だけだぞ」
それ以外に何がある、と琅はキヲンの目を見る。
キヲンはその眼差しにぎょっとするが、こう言い返す。
「それでも、ボクは、ボクはみんなのことが好きだから…!」
キヲンはそう言って琅の手を振り解こうとするが、琅はじゃあおれたちは?と聞き返す。
「お前と作られた頃から一緒だったおれたちは、大事でもなんでもないって言うのか⁇」
琅はそう言ってキヲンの腕を握る手に力を入れる。
キヲンはそんなの分かんないもん!と叫んで琅の手を引き剥がそうとする。

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Modern ARTists:威霊遣彩能媛 その④

「うわぁ……すごいのが召喚された……」
ヒトエの感嘆に、エイリはどや顔を決める。
「どうだ、すごいだろう。これが私の【玉桜楼】の力だよ。使い魔召喚の術。これでもっとしっかりサポートできるよ」
甲冑たちはぞろぞろと前進し、2人を守るように立つ。
「んー……? このこたちはぁ……」
カミラが甲冑の1体の胸元に手を当てるが、甲冑は吸収される事無くその手を振り払った。
「むー…………すえない」
「お前が後輩ちゃんと戯れている隙に、じっくり余裕をもって印を組めたからね。お前の弱点は聞いてる。私と後輩ちゃんの敵じゃないよ!」
エイリの指揮で、甲冑たちがカミラに襲い掛かる。カミラは鬱陶しそうに宙を泳ぎ、甲冑たちの攻撃を回避しながら、ヒトエに突進した。
「ヒトエぇー、やろ?」
ヒトエの目の前で停止し、顔を突き合わせてニタリと笑う。
「は、離れて!」
ヒトエの振るった双剣を回避し、カミラは空中で腹を抱えてけらけらと笑った。再び宙を泳ぎ、ヒトエの背中に隠れて甲冑たちをやり過ごそうとする。
「そうはさせないよ!」
エイリは叫びながらカミラに飛び掛かり、回し蹴りを放った。その足を手で受け止めようとしたカミラの前に、ヒトエが手を伸ばして手甲で掌を受け止める。
「エイリさん、触られないように気を付けなきゃ駄目ですよ!」
「うへぇ、怒られちった」
「……けど、やっぱり狭い……!」
ヒトエが窓の外に目を向ける。それに気付いたエイリは、甲冑の1体を操り、窓の一つを勢い良く開いた。
「助かります!」
ヒトエがカミラの腕を取り、勢い良く窓の外へ投げる。空中で態勢を整えようとしたカミラに、更に飛び掛かり、空中で馬乗りになりながら二人は約6m下方の地面に向けて落下していった。

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ただ

漂う過去の私。

漂う微かな香りは私を夢へと誘う

ちらちら舞う雪は恋心のように、

次から次へと溶けては私を溶かしていく

支えになった秋の木々に

真冬がやってきた。