「だからそろそろ行かなきゃ…」
「は? 何言ってるんだ硫」
お前の帰る所はおれたちの元だろ?と琅はキヲンに向き直る。
キヲンはそ、そうなの…?と苦笑いする。
「今はどこの誰の元にいるのか知らないが、本当に帰るべきはおれたちの所なんだ」
だから、そんな所にもう行かなくていいと琅はキヲンの腕を引っ張る。
「で、でも、ボクは…」
「何、なんか文句あるのか⁇」
嫌そうな顔をするキヲンを見て、琅は訝しげな顔をする。
「お前の帰る所はおれたちの元だけだぞ」
それ以外に何がある、と琅はキヲンの目を見る。
キヲンはその眼差しにぎょっとするが、こう言い返す。
「それでも、ボクは、ボクはみんなのことが好きだから…!」
キヲンはそう言って琅の手を振り解こうとするが、琅はじゃあおれたちは?と聞き返す。
「お前と作られた頃から一緒だったおれたちは、大事でもなんでもないって言うのか⁇」
琅はそう言ってキヲンの腕を握る手に力を入れる。
キヲンはそんなの分かんないもん!と叫んで琅の手を引き剥がそうとする。