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黑翆造物邂逅 Act 17

「やっぱり、なにかあったんじゃないの?」
あの會津さんって人と、とかすみは続ける。
「ずっと1人で抱え込むのはよくないから、自分でよかったら話してみてよ」
ちゃんと話聞くし…とかすみは言いかけるが、ナツィはそんなのいい‼︎と遮った。
かすみは驚いてびくつく。
「…俺は、人間じゃないんだ」
そういうの必要ないからとナツィはかすみの襟首から手を離す。
かすみは静かにその様子を見ていたが、やがて…どうしてそんなこと言うの?と尋ねた。
「きみは自分よりも人間らしいのに」
「えっ」
かすみの言葉に、ナツィは顔を上げる。
かすみは静かに続ける。
「自分、普通の人みたいに振る舞えないんだ」
笑ったりはできるけど、怒ったりはできないし…とかすみは俯く。
「誰かに優しくするのも、マスターにそうしなさいと言われてやってるだけだから…」
かすみの言葉にナツィは目をぱちくりさせた。
「だから、ちゃんと怒ったりできるきみは、自分より人間だと思うよ」
かすみのその言葉に、ナツィは思わず黙り込む。
暫しの間その場に沈黙が流れたが、やがてナツィは…そうなの、か?とこぼした。