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磨羯造物茶会 Act 9

「ただの見ず知らずの人工精霊だから」
「いや、そういうことじゃないんだけど…」
かすみはそう苦笑いするが、ここで、ねぇねぇとキヲンがカウンターから身を乗り出すように朱色の髪のコドモに尋ねた。
「キミ、名前なんていうの⁇」
「あっちょっとキヲン!」
ナツィは慌ててキヲンの腕を引っ張って自分の身の方に寄せる。
「どこの馬の骨かも分からない奴に下手に関わるんじゃない!」
「えっナツィ、ボクのこと心配してる?」
「うっ」
キヲンに聞かれてナツィはつい気まずそうにうめき、その傍でかすみはつい苦笑する。
キヲンはナツィってばツンデレなんだから〜とナツィに擦り寄った。
「…相変わらず仲いいなぁお前ら〜」
キヲンにくっつかれるナツィに向かって、カウンターの奥から不意に声が飛んでくる。
ナツィが振り向くと、キャップ帽を被ったコドモ…露夏が立っていた。
「お前、いつの間に」
「気になるから下に降りてきたぜ」
「なんだよ」
ナツィと露夏はそう言い合う。
朱色の髪のコドモはその様子を真顔で見ていたが、ふとその様子に気づいた露夏がそのコドモに…でさ、と話しかけた。