「だってそのキーホルダー落としてった子、リニアーワルツなんでしょ~」
「ペアもいるみたいだし、きっと平気だよ~」とフォーはニコニコしながら続ける。それでもミラは不安げだったが、「なによりも」とインテは笑みを浮かべた。
「ミラは、それをその子に返すんでしょう?」
「なら、ここで待っているのが正解だと思いますよ」とインテはミラの頭を撫でる。ミラは「……うん」と苦々しく頷いた。
「じゃ、おれたちも行くかね」
ミラとインテ、フォーの会話を見てから「早くしねーとこの街が壊されちまう」と、パッションはグリッタの方を見やる。グリッタは「そうね」と返す。
「あたしたちペアで、この街を守りましょ!」
そう言って、パッションとグリッタはラウンジを飛び出していく。
「では僕たちも」
「行ってきます、ミラ」と言って、インテはミラの頭から手を離した。そしてフォーとともに、ラウンジを去っていく。
「……」
再び自分一人になったラウンジで、ミラは再度ポケットからあのキーホルダーを取り出す。照明の光にかざすと、相変わらずきらきらしていた。
「あの子、大丈夫かな」
一人でディソーダーを軽々と倒していたとはいえ、ペアの話をするとひどく苦しそうにしていたあのリニアーワルツ。
本当に大丈夫だろうかという思いが、ミラの中をよぎる。
「やっぱり」
ミラはそう呟いてソファーから立ち上がる。そして、キーホルダーを力強く握りしめて、ラウンジを飛び出していった。
「なぁミラ、そのディソーダーが出たところってヘスぺリデスのどの辺だ?」
「管理官たちに報告して、おれたちが……」とパッションがテーブルに身を乗り出したとき、不意にラウンジ内のスピーカーからサイレンが流れ始めた。
「⁈」
リニアーワルツたちが思わず顔を上げると、ラウンジの出入口から背の高い女性……ウェスト管理官が飛び込んでくる。
「大変よ‼」
「ヘスぺリデス内で、 ディソーダーの出現が確認されたわ‼」と管理官は大声を上げた。ミラは「実は今その話を……」と言いかけるが、ウェスト管理官は気にせず続ける。
「司令官は、ヘスぺリデス基地所属の全ペアの出撃を命令したわよ‼」
「だから訓練終わりに悪いけど、あなたたちも出撃しなさい‼」とウェスト管理官は叫ぶと、そのままほかのリニアーワルツを呼びに行くのか廊下へ飛び出していった。ミラは管理官の言葉に思わず青ざめるが、パッションの「……行くか」という言葉を聞いて我に返る。仲間たちの方を見やると、四人は既にソファーから立ち上がったり、ラウンジの出入口の方に向かったりしていた。
「……みんな」
「大丈夫ですよ」
言いかけるミラに対し、インテは優しく声をかける。
「僕たちは、いつも通り出撃するだけですから」
「安心してください」とインテはミラの肩に手を置いた。ミラは「だけど……」とインテの顔を見上げる。
「このキーホルダー、あの子にまだ……」
「それもきっと大丈夫だと思うな~」
ミラの言葉を遮るように、今度はフォーが口を開いた。