深夜、ひと気のない大きな駅の前にて。
ターミナル駅とはいえ終電も出てがらんとした駅の近くにある交番で、2人の警察官とイスに座ったキャップ帽を目深に被っているコドモが言い合いをしていた。
「だーかーら! おれはお巡りさんに保護される筋合いはないんだし‼︎」
「そんなこと言ったって君、まだ中学生くらいじゃないか」
こんな夜中にほっつき歩いていたら危ないよ、と見るからに中年の警官はコドモに注意する。
しかしコドモは、おれそんなに弱くねーし!と悪態をつく。
「第一、おれはおじさんたちの思うような“コドモ”じゃないんだし、そろそろ解放してくれよ!」
「いーや、保護者の方が迎えに来るまでここで待つんだ」
「頭かてーなお巡りさんは」
「そういう口は利かない方がいいぞ君」
コドモと警官がそう言い合う中、そのやり取りを見ていた若い警官が不意に背後でなにかの割れるような音を聞いた。
「?」
若い警官が何気なく振り向くと辺りは妙な匂いのする白っぽい煙に包まれ、2人の警官はなす術なく気を失う。
コドモは突然の出来事に驚きつつ赤い上着の袖口で口元を押さえるが、やがて晴れた煙の向こう…交番の入り口に見覚えのある2人組の姿を見とめた。