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朝を

異世界に迷い込んだ あの日

世界から朝が消えたんだ

その日から夜だけが
空をおおうようになった

異世界に迷い込んだ あの日

神様は言ったんだ
朝を取り返すための代償を
持って太陽の眠る星空に行きなさいと




誰かが僕にささやく

君なら朝を取り返せるって


夜空へと続く階段は あの隣町

僕は僕自身の光を代償にすると決めた


僕は朝を取り返す
町に続く道を足早に通り過ぎる

そして 辿り着いたんだ

光の町に 星空に続く階段に



異世界に迷い込んだ あの日

私は君を見たんだ

大人の君は子供の私のままだった

異世界に迷い込んだ 暗い朝

私は君を 見つめた

君は戻れない世界の残像のようだったんだ


誰かが私にささやく

朝を取り戻そうって


不思議な声に導かれるまま

見つけた宝物

町角でみかけた大きなテレビの向こうの
君は笑っていた

君は私が走り抜けた
過去までを彩るようだった


そのとき私の心に光が灯ったんだ



私達は朝を取り返す
星空へ続く階段を登る

心に光を宿すふたりは

たどり着く

星の輝く夜空に 眠る太陽の元に



異世界に迷い込んだ あの日

君は僕に頼りなく ほほえむ
確かな光を 代償にして


まかせてよ
私は大きな君を背に
眠る太陽の元に



そのとき 僕は





世界に朝が戻る



青空の上

僕の中で 灯した光が消えて行く

そして僕までが消えていく


君は私の光なんだ

私は君の手をとろうと手を伸ばす
消えちゃだめだ

その手をつかむ
君の体の代わりに
私が消えて行く







目覚めた僕を

朝日が照らす



元の世界で

私は私のままだった












  • 異世界に迷い込んだから作った
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  • 冒険やろーぜ!!!
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