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母子家庭

記憶をたどると、幼稚園の卒業式の名簿の頃にはもう名字は変わってた。だからこの名前歴はかれこれ15年くらいにはなるのではないかと思う。母と姉と暮らしてきた。今は姉が県外にいるから母とふたり。目の前にはいない我が子を心配する親の気持ちというのもわからなくはない。昔も今も年に何回かは父と会う。最近はタイヤを交換してくれた。小学生の頃は、母が免許を持っていないから父が遠くへ遊びに連れていってくれた。毎年お年玉やクリスマス、誕生日など欲しいものはないかと聞いてくれていた。でも段々とそういう遊びに行くことも減る。母はたぶん父からの電話だったら嫌だから絶対どの電話にも出たがらないのだろう。原因は知らない。知りたいとも思わない。ただこれが私の周りを囲む形で、世界なのだ。自動車学校に通うためのお金は父が出してくれた。そのとき、自分が年を取って車を運転できなくなったときたまに買い物とかどこか連れていってくれるならいいよ、と言われた。とりあえず、うん、と言った。そして今、先月のことだ。父からの電話だった。衝撃の余り、心が吐きそうだった。『お父さん結婚するから』いつも通りの返事をとりあえずしたとは思うが実際どうだったのか。父は定年をこえているので色々考えた。姉にも伝えておいてと言われた。それと同時にとりあえず今母に話してはいけないと思った。だから、車で出かけている時、母がちょっと買い物をと車を降りている間に急いで姉に電話をした。姉も一瞬動揺し、混乱していた。次の日再び姉と話をして、その日の決断としては母には話さないとふたりで決めた。話をしていたらなんでか涙も出てきた。その涙の意味はわからなかった。

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