あの日飲まれてしまった飼い主の匂いを辿って
その犬は天国まで旅に出た
恐らく君の嗅覚なら辿りつけるはずだ
さよなら
カエルの肌は殆ど鼓膜のようなんだとか
鳥は紫外線まで視ているんだとか
その世界はどんなだい?
もっと美しいのか
もっと醜いのか
犬にとっての匂い、カエルにとっての音、鳥にとっての光
人にとってはなんだい?
それは 多分 言葉だ
言葉によって僕らは
5つ目の次元を手に入れる
地名で満たされた世界地図
はるかな過去から 遠い未来を目指すメッセージ
かえるのうたがきこえる
寝ぼすけを叩き起こそうとするようかな
赤ん坊の頭を撫でようとするようかな
なつかしい匂いのような
やわらかい光のような
この地表の上の全ての点が
かつて虹の根元であったことがあるはずだ
なら、行こうぜ
虹の終着点で会おう
さよなら