0

モーターに温まったガスが吹き出して
鉄の匂いと混じりあった。

君は階段から一番離れた乗り場。

そのか細い脚で隙間をまたいだ。


息を止めて
人をかき分け
ボヤける目は君だけを映した。

僕は走った。

そして掴んだ。
その手を、
君の手を掴んだ。
掴んでいたんだ。
掴もうとしたんだ。

ただ、
届けようとしたんだ。



僕の伸ばした手はかっこわるく遮られ
ドアの向こうに君がいた。

走り出す機械を止めることができなら

瞳に飛び込んた春の蒼。



手の中に感じる
君が落としたキーホルダー。




ぬるい空気が僕の汗に触る。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。