3

音のナイフ 14

僕は、いつからか気がついていた。

僕は周りの人とは違うんだと。

この女の子の手と違って、僕のは、暖かくもないし、柔らかくもない。

僕は、精巧に作られたニセモノなのかもしれない。

そんな疑念を抱きながら今まで旅を続けて来た。

音楽を教えて欲しいと言われた時、僕は、どうやって音楽を知ったのかも、誰から習ったかも思い出せなかった。

僕は生まれた時から、音楽を「知っていた」

脈がない、それが何を意味するのか
僕にはわかる気がする。

僕はどこから来たのか。

僕はこの世界の道理に反して生まれて来たような気がして、ならない。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。