任された役はきちんと演じきらなきゃ
その舞台は成功しないと僕は思うんだ。
だから、精一杯やってきた。
重いドレスと分厚い仮面を付けられても
舞台を成功させるためなら仕方ないと
思っていた。
たとえ、僕には似合わなくても
たとえ、ほんとの僕を見せられなくても
それが自分から手を挙げて任された役なら尚更。
でも、僕は気づいたんだ。
どんなに着飾っても
ただの演者である僕だけが頑張っても
ダメなんだって。
裏方でも、演者でもみんなが支え合わないと舞台は成功しないんだ。
でも劇団のみんなは時間を無駄に使うだけ。
きっと僕がダメだからかな。
もうみんな舞台の成功を諦めてる。
だからもう終わりにしたいんだけど
でも
長い間ドレスと仮面を付けてきた僕は
ほんとの僕を忘れてしまったんだ。
だからこれからは
僕が僕を演じていくんだ。
いつか、役である僕が
ほんとの僕になると信じて。