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琥珀糖

ねえねえ


そう言って君が差し出してきたのは

ステンドグラスをバラバラに割って、

混ぜて、もう一度固めたようなお菓子

ガラスの破片のように

ところどころ尖っているそれは

外側はガラスほどではないけれど硬くて

でも、それに相対して中側は

なんとも言えないふよふよした食感で。

不思議そうな顔をして食べる僕の横で

君はそれを夕陽に翳して、

何かをみるように目を細めて、

それから美味しそうに食べていたよね。

残念ながらそれは

ステンドグラスのように

光を通すものではなかったけれど。

君はあのとき、何をみていたの?


このお菓子ってさ、琥珀糖って言うんだ

なんだか、お前に似てるお菓子だよな。


そう言って君は僕に微笑みかけた。

何が言いたいのかわからなくて

首を傾げる僕に君は、

琥珀糖を差し出して言葉を続けた。


外側はなんだか強そうにみえるんだけど

内側は実は誰よりも繊細で。

琥珀糖ってさ、自分で作ろうと思うと

何日も乾燥させて、この食感にするんだ

きっとずっとずっと我慢してきた時間が

お前を強そうに見せてるだけなんだよ。

だからさ…


何よ急にー(笑)


って話を遮ってしまったこと

まだ謝ってなかったよね。

ごめん。

僕はその先をきくのがなんだか怖くなってしまったんだ。

あの日の放課後、

君と並んで座って琥珀糖を食べた日から

僕は密かに琥珀糖作りに挑戦してるんだ

未だに上手く作れてはいないんだけど

いつか、上手く作れたら、

食べてもらうから。

その日まで待っていてね。




僕の我慢してきた時間よりも

ずっとずっと長く

大好きな君へ。

僕からの長ったらしい言葉。

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