僕がいるこの部屋は
少し暑くて
シャツの袖を捲り上げると
向かいにいた君が
なぜかほんの一瞬
笑った。
僕がいたあの場所は
少し窮屈で
気づかれないように伸びをすると
向かいにいたアイツが
わかるぜとでも言いたげに
笑った。
君がいたあの場所は
もう今はなくなって
工事のドリル音だけが
むなしく街に響いて
そこからほんの少し目をそらして君は
泣いてた。
君がいるこの部屋は
少し肌寒くて
だけどほんの少しだけ
暖かくて
僕のたった一言に君は
泣いた。
僕の笑った顔しか
君には見せなかったはずなのに
君の泣いてる顔しか
僕は見たことがないんだ
そう言うと君は
ほんの少しだけ笑って
それでもやっぱり
泣いた。