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LOST MEMORIES~prologueⅡ~

国王からの呼び出しということでゆっくりはしていられないのだが、いまいち体が向かおうとしない。重い足で、薄暗く重厚なアーチを通る。多少陰気くさいけれど、パプリエールは嫌いではなかった。しかし、そんな気持ちとは裏腹に、歩くスピードが落ちる。子供っぽいことを自覚し 溜め息をつくと、諦めたように姿勢を正して、大きな扉の前に立った。
3回、ノックする。
「国王様、私です。」
するとすぐに、入りなさいという声が聞こえる。パプリエールは小さく頷き、部屋に入った。
王の座る広いテーブルの前に立つと、王はやっとこちらへ顔を向け、徐に口を開く。
「パプリ。まずは国王様と言うこと、やめてもらえないかね。」
困ったような顔。
「私は既に公に顔を出している身ですので、そういったことはできません。」
王は涙目になる。
「せめて家族でいるときだけは、前みたいにお父様と……いっそパパでもいいから――!!」
国王とはいえ、一人娘を持つ父に変わりはない。パプリエールは、そんな父に苦笑しつつ、
「はい、お父様。
それで、どうして私は呼ばれたのでしょう。」
父は微笑み、大きく頷いて、やっと説明を始めた。

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